インターネット上で、ある人がつぶやいた。「人材って、子どもは物じゃないんだから。冷たい言い方だな」。
確かに人間と物とを区別する考え方はわかる。物扱いがぞんざいな印象を与えがちなことも納得できる。
でもなあ、だからといって「人材を育てる」って言ってる人が冷酷という訳ではないし、「人間」「子ども」って言ってる人が温かいという訳でもないだろう。
わたしたちが思い浮かべる近代教育は、日本の場合、1872(明治5)年の「学事奨励ニ関スル被仰出書 (学制序文)」の、「学問は身を立つるの財本ともいふべきものにして」を起点にしていて、子どもを国民へと育てることが、国民国家を支える「国家百年の計」(管子)と、個人の幸福と国家存立とのWin-Win を目指したもの。だから「人材」には、子育てと人的資源の開発という2つの意味が重ねられている、と見るべきと思うが。
とまれ、こうした例ひとつにしても、
1.教育を語ることばは、その人の辞書に基づくことが多く、みんなが必ずしも了解できるとは限らない。
2.だからこそ、語る人の思い入れが強くなりイメージが先行しがち。よって、論理よりも感情が先立ち、経験が蓄積されにくい。
…という辺りを知っておかなければ、と思う。