NHK「ルソンの壺」、今回は大阪市鶴見区にあるベル食品。二千種類ものカレールーを開発、製造している。
とくに興味深く観たのは、夕方5時になれば、掃除や片付けを初めて、5時半の終業時間で社員は帰宅、残業がほとんどないということ。
大口顧客が多かった頃は、急な増産の注文が入ったりして休む暇もなかったらしいが、疲れてはミスが生まれ、そのミス分を取り返そうとしてまたミスをおかすという悪循環ではだめと考えるに至った、と社長は話す。こうして社員の幸福度を高めることを目指した今、終業後の時間で趣味を楽しんだり、明日への活力を養ったり、アイディアも生まれやすく職場が好循環するのだそう。
さて、学校における教員の働き方について。「子どもという人間相手の仕事はモノ相手とは違ってキリがない」と教員はよく口にするが、だからといって長い時間をかけたから良い仕事ができる保証はない。「やらないよりまし」と信じているだけだ。むろん、突発的な事案には遅くまで時間を取られることもあるだろうが、それは決して恒常的なことではない。毎日のリズムをいかに刻むかに心するのが大切ではないだろうか。
むしろ、職場に長時間いることで「今日の空は青い」と感じるゆとりも持てす、世の中の出来事もよく知らない状態で児童生徒に接することで、「学力向上」も達成できないだろうこと。それどころか、疲れて気持ちが不安定なために、ちょっとした子どもの振る舞いを見逃せずに腹を立てて、長々と説教でもしかねず、授業の土台となる大切な人間関係を壊してしまう。
ライフ・ワーク・バランスとも言われるけれど、自分の身の丈にあった仕事とそのマネジメントを。つまり、忙しいと感じるならば、業務を減らすか、それともサクサクと業務ができるように能力を高めるか、いずれかを選ばなければならない。問題なのは、「どうしもようないから」と同じことを繰り返し、革新を試みないままに消耗してしまうことである。