本棚から古い雑誌が出てきた。『ムリなく1億円貯めて老後に備える本』(日経ホーム出版社、Shopping 臨時増刊、1991.12.5)、およそ20年前だ。若いのにこんなんを買ってたのね(^^;)。
一億円、こりゃすごい。いったいどうやったらそんなことが?、と記事をめくる。ふむふむ、「30歳から始めれば、月給の1割、ボーナスの50%を貯めればいける」と書いてある。ほう。そんなんでできるんかな。
でもよく見ると、想定されている一般財形預金の利回りは、なんと6.4%(税引き後、5.12%)。大口定期預金(3年間)で6.2%(同4.96%)と。ええ~?
現在の銀行の普通預金は0.02%、大口の定期預金(3年間)でも0.06%だ。つまり、6.2÷0.06=103.3、利率は100分の1以下にまで落ちてしまった。当時、それなりのブレインが計算して提案していただろうに、今やこれではまったく使えない、何の参考にもならんぞ。ちなみに、定期預金の金利が1%を切る低い水準になったのは1995年。結局、この雑誌は4年先のことですらまったく見通せなかったということになる。
また、貯金以外の指南もおもしろい。「純金」や「アパート経営」は今もあるけれど、外貨預金や外国債券、あるいは賭博性が高いがFXなど、まったく出てこない。あくまでも「円」建てだけの話だ。金融の「国際化」がインターネットを通じて家庭にまで押し寄せてくるとは考えてなかったのだろう。
これを読んで、「よっしゃ」と始めた30歳の人は今どうなっているのだろうか(かく言う自分も、ぴったりあてはまる…)。退職金も「2000万円は手堅い」とあるし…。え~ん。
言いたいこと:10年を超えるような先、ひょっとしたら5年先のことですら、当てることは難しい。将来のことはどうなるかわからないと心して、今を考えるべし。