千葉県茂原市の市立中学校で、クラス替え予定の2年生4クラス122人に、「必ず秘密にするので正直に」「要望通りに行かない場合があります」などの説明のあと、(1)どうしても一緒のクラスにしないでほしい人、(2)できれば一緒のクラスにしないでほしい人、(3)小学校からの問題で、気になっている事や相手の氏名、を記入させた。しかし、保護者や生徒から「実名は書きにくい」「プライバシー侵害」などの批判を受けた同校は、生徒らに事情を説明、アンケート結果を廃棄した、という(毎日新聞 2012年3月16日)。
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学校が「ニーズ」を調べて、それに応えたいと行ったアンケートに対して、かくも不満・批判が出るのは、学校が商品を購入するような世界ではないことを、生徒や保護者が図らずも、おそらくは直感的に知っていたということだろう。
公共事業としての学校は、納税者に説明責任を果たすことを第一にする、教職員、児童生徒、保護者(地域住民は含まない!)の「運命共同体」であって、少なくとも義務教育段階では、個々の子どもの利益のために存立している訳ではない。また、教育-学習活動上の具体的なことは、教職員の専門職性を旗印にする一方、「質保証」は分析的・批判的な自己評価ほかによって担保されるのが整合的である。-こうした論理のもっともらしさを示すエピソードだと私は思う。
さて、これまで、「学校はサービス業だ」「お客様の声に耳を傾けなければならない」と学校評価やコミュニティースクールを論じてきた方々、学校教育において「顧客満足」や「ニーズに応える」ことの重要性を、改めて説明してもらえるだろうか。