日経「トップが語る ワークライフバランス」(2012.4.16)は、日本IBM社長の橋本孝之さん。インタビューの最後に、会社にとってワークライフバランスは、と尋ねられてこう答えている。
「会議の出席者が男性ばかりの時は、『何をやっているのか』と管理職に注意する。男女、国籍を問わず多様な人材がいてこそ新しいアイディアが生まれる。それが革新的なビジネスを生み出す。成長のためにこそ、様々なライフスタイルに対応できる柔軟な働き方を用意しなければならない」
かたや、学校とくに小学校で重視される合意形成や意思統一、これは同僚性とも称されるが、いわば共通理解のもと、足並みを揃えて、という感じと捉えてよいだろう。
さてこれは、何のために行われるのだろうか。というのも、学校教育は、「こんな感じでやりましょう」と職員間で一致できたとしても、学校経営のメンバーではないが不可欠な児童・生徒がいるため、実際には多様にならざるを得ないからだ。つまり、教職員間での合意や一致は、目安の域をまったく出ない。
にもかかわらず、学校によってはこのために膨大な時間と労力が投入され、校内研究テーマの設定などに、数ヶ月かかることもあると聞く。しかし、実際の授業は実にいろいろで、集約されることはまずない。だったら、追求すべきは、多様な見方ややり方が思い浮かぶような、収束ではなく拡散するような場づくりではないだろうか。
学校教職員、とくに教員のみなさん、合意形成はそれじたいが大切なのではなく、何かのための合意形成だということを思い出してほしい。どうも、目的と手段の取り違え、目的が手段となっているように見えて仕方がないから。