品質管理(QC:Quality Control)サークル活動の先駆けとなった「現場とQC]誌が創刊されて、50年になる(2012.4.30、日経)。
その発想と手法には賛否両論があったが、より高い品質を、より低いコストで、より短い時間で、机上ではなく、現場で働く人の目線からアイディアを出していくという基本原則は、官僚制が支配的な領域をのぞき、業種を問わずおおよそ定着したのではないかと思う。
同記事を書いた編集委員によると、変化しつつあるQCの一つ、日産では、この活動を業務として明確に位置づけた点で新しい。10人ほどのサークルがリーダー、工長を中心に活動を決めるが、それは業務だから勤務時間に含められ、残業手当の対象にもなるのだという。
ひるがえって、学校教育に目を向ければ、「事件は現場で起きている」と多くの教員が好んで口にしながら、その現場を重視していないように、私には見える。どうすれば職場をより良くできるか、いかに働きやすい職場にするかという発想と手法、さらに方略について、どれほどの労力を割いているかといえば、まったくお寒い状況だろう。
「子どものために」「子どもの成長のために」と呪文のように唱えるが、それを支えるはずの、たとえば職員室の整理と整頓、できるだけ早く帰宅するタイムマネジメント、情報共有と交換を促す空間的設計とコミュニケーション上の工夫など、いくらでもありうる業務改善については、学校管理職をはじめ、視点すら持ち得ていない、といえは失礼に過ぎるだろうか。
教員の職務は「授業研究」や「教育実践」だけではない、教育公務員特例法に定める「研修」もそうだし、学校環境の改善ももちろんである。問題は、まずそのことに気づくこと、そして校務分掌に「学校業務改善委員会」などを設けて、全学校を視野に入れた働き方の分析、実践、報告と始めてはどうだろうか。