問題の見極め
ある小学校を訪問した。校内研究を進める様子を見せてもらい、提案するためだ。
前回にみんなで作業したという模造紙と付箋紙が掲示されている。教頭先生からは、こうした作業が教員にはとても新鮮で、多くの意見が出て良かったと感想を聞く。まあ、それはそれで嬉しいことだけれど…。 さて、付箋紙に書かれた「問題の発見」に関わる文言を見る。学校の施設設備のことや、自分たちの働き方にも言及されているが、多くを占めるのは、「私語が多い」「廊下を走る」「机に対して椅子を斜めにして座る」といった、児童の規範や態度に関わることだ。 この研修の時間中、発言する機会を何度かもらい、先生たちに問いかけた。「こうした『問題』状況が、今に始まった訳ではないのならば、これまでの自分たちの実践や働きかけをどのように振り返りますか。その上で、どんな新しいことができそうな『問題』ですか」。だって、上の付箋紙のようなことはどこでも聞きそうな話で、失礼な言い方だけれど、その学校の先生たちの「悩み」に見えないから。 「いや、これが悩みなんです」という声も挙がるかもしれないけれど、ならば伺いたい。こうした状況に対してこれまでいろいろなさってきたのだから、もうどうしようもないことと判断するのか、それともまだ手があると捉えるのか、の区別が必要ではないか、と。 また、この交通整理は、教員が何とかできることなのか、教員ではどうしようもないことなのか、を見極めることでもある。子どもが変わるかどうかは、最終的に子ども自身に委ねられるのだから、教員が子どもを直接に操作することはできない。だから、教員が自分たちの望む方向に自身をいかに変えることで、結果的に子どもを変えることができるか、と発想をしなければならない。 教員が自分たちでできることは、子どもに何かを「やらせる」ことではない。自分たちをいかに変えうるかのメドを得ること、これが授業改善や教育実践の改革というものだろう。そこに必要なのは、自分たちの「わからなさ」。これが欠けていては追求するもの自体がないことになる。そんな状況で、楽しくやりがいのある校内研究など、まったく画餅である。ぜひとも変わってほしい。
by walk41
| 2012-05-14 23:47
| 学校教育のあれこれ
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Comments(3)
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もくれん
at 2012-05-16 01:07
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>教員が自分たちの望む方向に自身をいかに変えることで、結果的に子どもを変えることができるか、と発想をしなければならない。
生徒にどこまで指導するか、覚悟ができるかということでしょうか。
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walk41 at 2012-05-16 07:34
コメントをありがとうございます。ここで言いたかったのは、「~の子どもになるように」という表現が、子どもに「させる」ことを通じてしか手立てがない、ということは避けようということです。つまり、教員(たち)が何か新しいことを試みること、昔の試みを引っ張ってくること、を通じて、結果的に子どもが変わることを展望するべきであって、子どもに「やらせる」ことをもって、「指導」というのはおかしいだろう(自分たちが何をするかが明らかでないから)と言いたいのです。
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もくれん
at 2012-05-16 07:43
x
ありがとうございます。こどもが変わることを展望し、手段を講じることですね。よく、目標をたてて、子供たちができなくて困っているという話を聞きます。どうなって欲しいか、そのために自分たちはどうするのかを考える事ですね。
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