教育実践とPDCA
長野県:中学教諭「処刑しちゃうぞ」
塩尻市立中学校の男性教諭が9日、歴史の授業中、3年生の男子生徒の顔写真を自分のカメラ付き携帯電話で撮影し、教室のテレビ画面に映した上で「処刑しちゃうぞ」と発言。同中によると、教諭は男子生徒らが騒がしかったため「注意を引くためにやった。男子生徒とは普段から仲が良く、悪ふざけという感覚だった」と釈明したという。教諭は既に本人と保護者に謝罪した。市教育長は「『処刑』の言葉はモラルを欠いており、申し訳ない」。(毎日新聞 2012年05月18日) --------------- こうした教員の「暴言」がしばしば取り上げられ、たいていは学校側の謝罪で終わるのだけれど、これから何を教訓にすればよいのだろうか。 1つめには、教員の生徒理解が必ずしも妥当でなく、生徒は教員が思っているようではないために、不幸が生じること。 2つめには、生徒理解が妥当かどうかとは別に、その場で教員がどんな発言をするか、行動をとるかは、当の教員すら予定できないこと。 以上から、PDCA論に即せば、①P:計画に際しての現状分析という評価が適切に行われる保証がない(児童生徒は日々、時間ごとに違うとすら言えるのだから、そもそも「正確な分析」がムリである)、②D:実施は計画に基づいて行われる訳ではなく、状況次第の「出たところ勝負」である(どんな状況になるのかは、教員に限らず誰にも予測できない。その場にいない校長ができないことは言うに及ばず)、③C:点検・修正もこのため、計画と実施との齟齬を問うても仕方がない(修正とは、計画と実施のズレを問題にすることだから)、④A:よって、前年を活かして翌年といった、積み重ねや継承が基本的にできない(報告書は出ても、誰も読まないように)、という特性を帯びている。 つまり、学校教育でPDCAを強調することは、実際に合致しないことから学校(と教育委員会も)を「嘘つき」にしかねない。学校の説明責任は、別のスタイルで果たさなければならない。 そこでできることは、1つに、現状把握をより多面的に行える場を持ち、来たる実践により広い視野をもって向かえるようにつもりをすること(学校教育に関する評価能力の高さは、その正確さや、妥当さによっては担保されえないので、主観や直感を含む「もっともらしさ」によって示さざるを得ない)、2つに、実践ののち、どのように状況を捉え、判断してそのようにしたのかを振り返る場を持ち、次回は違うようにも対応できるよう、(実践を深めるではなく)実践の幅を広げること(事後の分析を多面的にできるという評価能力によって)、この辺りではないだろうか。
by walk41
| 2012-05-18 09:36
| 学校教育のあれこれ
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