アメリカのテレビドラマ、「グレーズ・アナトミー」もシーズン7,病院には新しいひな鳥、研修医がやってきた。
その回の冒頭のナレーションは、次のように始まる。
「医学は ある程度まで科学だ。でも科学は芸術でもある。"医学は科学だ"と言い切る医者に、大出血の処置や子どもの手当てをさせたくはない。研修医は規則に従い、芸術家は本能に従う」
患者はとりあえず対象化され、外科医ほか医療スタッフに「お任せ」状態になるが、そうした分野でさえ、芸術(art)という話が出てくる。おもしろいと思う。
だから、「教える」-「学ぶ」と直接には繋がらない主体が登場し(「先生にお任せする」とはならない)、しかも、どんな状態になったのかの測定もできない学校教育の世界が科学的ではないことは明瞭だ。
「質の高い学校教育を」というならば、当事者の感性を刺激し、曖昧糢糊な世界をそれなりにうまく渉っていけるように直感と即興が促される身体を確保すること、が大切になる。見えない先を予測させたり、規則どおりに動かすことを目指していては、却ってこれらを阻害する。
教育が科学的であるべき、なんてことから離れて、もっと上のような発想が求められるべきではないだろうか。