思ってもいなかったこと、ええっ、そうだったのかあ、である。
学部生向けの授業で、言語政策と学力の話から、PISAテストや全国学力調査の話に。国や府県を単位に「学力」を比べることはできるのだろうか、またその意味はなんだろうかと、学生に問うた。そのあとの感想に以下の文面があり、いたく驚かされたのだ。
「都道府県の学力調査テストがあまり意味がないかと思った。私が小・中学生のころは、どうせ成績に反映されないと思っている人が大半で試験も適当にやっていた。しかし、その結果で大人たちは騒ぎ出す。そこに、大人と子どもの教育に対する考えのズレがあると思う。そんな中で順位をつけたところで意味はないんじゃないかと思いました」
いかがですか。これにびっくりするのは私だけ? いやあ、考えたことなかったな、恥ずかしながら。
この説明ならば、全国学力状況調査の順位は、児童・生徒の「真面目さ」「従順さ」の度合い、ということになる。成績に影響しないけれど、頑張ってやる、言われたからやる、という子どもが多い府県ほど、上位になるという話だ。そういわれてみれば、そうなのかも(^^;)。
いや、そんなことは稀でしょう。みんな真面目にやってますよ、と反論があるかもしれない。でも、同じような構えや心持ちで調査に参加していることの担保はどこにあるのだろう。「こんな調査、だるいわ」という子ども、「なんかよくわからんけど、とにかく頑張ろう」という子ども、いずれもいると考えるのが、バランスのとれた発想ではないかな。この点は、「甲子園で優勝」を目指す各人や各チームの姿勢と大きく違っている。この場合は、モチベーションがいずれも高いことを前提にできるのだから。
かくも、あやふやな調査やテストなのに、結果が出るやいなや、数字が一人歩きして、教育論というお喋りに供される。そんなん大した問題やないやん、と反応する人が少ないから、勢い「教育改革」なんて話にすらなりかねん…。
ああ嘆かわしい、とは私の受け止めだが、みなさんはいかがお考えになるだろうか。