食べやすいものが増えて、かむ回数が確実に減る中、かむことの大切さが見直されつつある。
非常ベルなど不快な騒音を人に聞かせたとき、ガムをかむと脳が感じるストレスが減ったという(日経、20120624)。このほか、「かむという行為は脳をより使い、働かせる」という主張もあるのだそう。ふむふむ、おもしろいなあ。
人間を社会的、心理的に観察する、さらには操作するということに加えて、生理的な観点からも見れば、「頭で考えて、行動する」とか「心を見つめて、コントロールする」といったこととは別に、「生き物としてある」ことの重要性を無視できないだろう。
授業中でたまるストレスを発散させるために、教師や子どもたちにガムをかんでも良いとすることは、生理的には効果的かも知れない。しかしながら、「学ぶときにそんな格好はいかがなものか」「先生に失礼」といった社会的な観念が頭をもたげもする。
かくして、人間の生活は必ずしも合理的にはならないのである。