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学校・教職員の現在と近未来 Gegenwart und nähere Zukunft der Schule und ihrer Mitglieder

異なる視点

きのう記した、学校事務職から見た学校の一面、「特別なことではない」「自戒したい」とコメントがあったが、ならば、学校で多数を占める教諭だけの見方だけでは、もはや立ちゆかないことを前提に、学校組織のあり方を議論すべきと思う。

つまり、直接に児童・生徒に接していないという「強み」を活かして、学校を俯瞰的、全体的に捉える役割を、教諭以外の立場に求めるのだ。すでに拙論「学校組織構造のメタファー」(2008)において、「なべぶた」「ピラミッド」といった喩えでは、学校組織を捉えることができず、「中心-周辺」モデルともいうべきものでこそ、学校の実際が説明できると述べたが、この点で、教諭は周辺(最前線)に位置する。

これに対して、中心に位置するのは、それぞれの授業や子どもの様子は必ずしも見えないけれど、ぼんやりとでも全体はわかる立場。それが校長、教頭、事務職に求められる「管理業務」なのだ。

学校事務職のみなさんを煽ることにもなるけれど、自分たちを学校の管理をする仕事に就いているということ、新しい意味での「学校管理職」と呼んでみよう。学校の人的、物的、財的な資源を適正に管理すること、まさに管理業務なのだから。これを管理職と呼ばずに、何というのだろう。

そのとき、学校事務職にはどんな要件が必要になるだろうか。
by walk41 | 2012-06-26 08:32 | 学校教育のあれこれ | Comments(10)
Commented by もくれん at 2012-07-02 07:19 x
要件?・・。
1、社会の進んでいる方向を知る
2、地域の現状を知る。
3、教育課程の理解。
4.学校が取り組もうとしていることへの理解。
5、.学校の現状と課題を知る
6、法令、規則の熟知。
7、コミュニケーション能力。
8、目標を明確にして取り組む。
9、実現するための資源の確保。

思いつくままに書いてみました。。。
Commented by walk41 at 2012-07-02 07:38
コメント、ご提案をありがとうございます。少しまとめさせてもらうと、
1.学校内外の状況把握(情報管理)
2.取り組みを進める上での資源の確保と開発(資源管理)
3.関係者の意思疎通(人間関係の管理)

という感じで捉えてよいでしょうか。

また、最近思っているのですが(株主総会が相次いだ6月だったので(^^;))、株主に対する報告書、あれが学校評価のイメージになるのではと。

学校管理職(校長、教頭、事務)は、この報告書に載せるべき内容を維持、管理、革新していくことかな、こんなことを考えています。ご意見を頂戴できれば幸いです。
Commented by もくれん at 2012-07-03 23:05 x
簡潔にわかりやすく整理していただきありがとうございます。
学校評価のイメージがなかなかつかめないですが、株主総会報告書と重ねてみるとわかりやすですね。学校は基本理念にたいする具体的取組が明確になっていないことがあり、学校改善に効果的に働かない学校評価になっているように感じます。
事務職員にも質の高い人たちがたくさんいますが、残念ながら学校の中でそれが十分いかされていない文化があり、私たちの前に大きな壁となっています。
Commented by walk41 at 2012-07-04 00:27
過日の教頭研修にて、学校評価をテーマにいただいたときは、評価報告を、「白書」のイメージで考えてみようと、と提案しました。それは、定点観測からなる「概況」と、本年度の特別テーマである「特集」からなるものです。文部科学省白書もおおよそこんな構成になっていますね。

学校関係者に、学校の概要と特段のテーマについて、報告し、理解を求めること、そのためにも、何が学校の問題であり、どうすれば改善、革新できそうなのかを仮説-検証するという、研究的姿勢と能力が問われると、考えています。
Commented by もくれん at 2012-07-05 06:59 x
勉強になります。特段のテーマ設定ができていないですね。だから精選をしないまま昨年通りのこなし仕事が積み重なり多忙化していっているような印象です。
機会をみつけて話をしてみたいです。
Commented by walk41 at 2012-07-05 10:05
組織を管理するとは、と改めて考えてみると、1.ルーティンがちゃんと回っているか、を確かめる、2.少しずつ起こる、あるいは突発的に生じる変化に、どのように対応し、できれば先取りをしているかを確かめる、と言えるのではないでしょうか。

ならば、「白書」において、1.は「概況」にあたり、いわば無難に組織が動いているかを報告し、2.は「特集」として、この間の話題、課題を取り上げることになります。

とくに扱う内容がない、あるいは手一杯でそれどころではない、のであれば、2.を扱う必要はないでしょう。また、1.については、できるだけ少ないコスト(時間と労力)で、可能な限り自動化して(項目別月別支出、教職員の勤務時間、保健室来室人数、「学力」達成など)データが集められればいいですね。
Commented by もくれん at 2012-07-05 20:27 x
ありがとうございます。少しずつ見えてきました。概況と特集の関係が。。まずは手一杯のことから改善ですね。私にもできそうな気がしてきました。
Commented by walk41 at 2012-07-06 09:13
学校は、全体と部分との関係が不明確なので、どうしても個々の教室、授業で話が終わりがちです。これに対して、「大枠」として学校がどのようになっているのか、これからどうあり得るのか/あるべきなのか、をみんなで確かめ、議論する材料になるのが、学校評価と考えてはどうでしょうか。したがって、学校評価が客観的である必要はないし(そもそも、ありえないのですが)、それぞれの主観を交差させ、できるところは最大公約数として束ね、整理して、「だいたいこんな感じかな」と理解の裾野を広げることに意義があるのです。
Commented by もくれん at 2012-07-07 02:53 x
日々の様々な出来事に翻弄されその対応に時間がかかりつい全体で今どうなっている?という視点をもつことが難しいのが現場のすがたのように感じています。700人いれば700通りの生徒がいて保護者がいて、このひとりひとりが努力すればいいことが必ずやってくると実感できる学校であってほしいと思っています。
そのために、みんなで話をしたいけど、時間がない、忙しいといって本質を語らずこなしている感があります。
学校を全体でとらえて、議論することはやはり管理職のマネジメント力が大きく左右しますね。
Commented by walk41 at 2012-07-07 21:32
その場に自分の身を置いたことがないので、怒涛のようなとも形容される学校の実際が実はよくわからないのです。ですから、ひょっとしたら、かなりの無茶を教職員のみなさんに言っているのかもしれないなあ、と思わなくもありません。

その上で、学校があってこそ、教職員があるということ(個人営業はできないということ)、ただし、部分を合わせたものが、全体になる訳でもないということ、この点も確認いただき、どうすれば、学校としていい仕事ができるかを考え、試みてほしい、そんな思いを持っています。
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