学校・教職員の現在と近未来-榊原禎宏のブログ

「世界最多」の論文捏造

東邦大学の元准教授(麻酔科学)が捏造した論文は、少なくとも172本、不正が認定された論文数としては世界で過去最多になるという(毎日、20120630)。

書いた論文数だけでもそれなりのものと思うが(拙論の場合で、共著、編著の本と単著、共著の論文を合わせて140本くらいかと思う)、これが捏造ということに驚きを隠せない。すごい数やなあ。以下、疑問。

①捏造はおよそ20年間に及ぶとのことだが、かくも長い期間、問題にならなかったのはなぜか。大学への採用や昇任の際の業績審査は、どのようになされたのか。
②問題の当人は、麻酔医でもあるが、自らの実践と研究上の知見とは矛盾しないのか。
③どうして、こんなにたくさんの論文を捏造することになったのか。

教育学に引きつけて考えてみる。
①実証データを必ずしも要しないので、「官僚的解説」や「言いたい放題」(年配に多い)の入り込む余地がある。この点ではすでに書いたように、捏造と問題になること自体への憧れすらある。
②教育学者は教育実践に携わるとは限らないので、論文の内容と矛盾しても困らない。教員養成をテーマに「学生の振り返りを促す」と論じながら、自分の授業は講義一辺倒であることは決して珍しくない(その証左に、教育学者による大学教育実践の報告はまったく限られる)し、教育方法をテーマに「個に応じた指導」を、マスプロ授業にて論じることも同様である。
③「学校教員は1ページくらいしか読まないから」と編集者が原稿依頼の際に言うような教育雑誌に書いたものまで数えると、論文数が増える人もいると思う。

二つを比べると、前者は実証性が問題になる点で、より論争的たりうるからおもしろい。後者は自己言及性が問えるから、人間相手という点でおもしろい。

あまり元気の出ない話題だけれど、大学に住む人を対象にした研究も進むことを望みたい。それが捏造問題の背景を深めることになり、さらには領域ごとの特性の違いも明らかになっていくことだろう。
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by walk41 | 2012-07-01 20:37 | 研究のこと | Comments(0)
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教育学の一分野、学校とその経営について考えます。
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