民放「ガッチリマンディ20120617」は、富士重工業、スバルの名前で知られる。
中島飛行機を前身とする同社は、いま「アイサイト」という新製品が成功を収め、これを搭載したレガシーは9ヶ月もの納車待ちだとか。
走行中、前方に障害物があれば、警告音を出しつつ、その手前1メートルで止まる、付いて行きたい車があれば同じ速度で追いかける、といった優れた技術をもった、このクルマを作るまで、なんと20年を要したという。
間借りした部屋で、安全なクルマづくりを目指した研究に取り組んだメンバーには頭が下がるが、同時に、この研究を続けることを結果的に認めた執行部も、大したものだと思う。
ひょっとしたら(あるいは、かなりの確率で)何の製品化にも至らないかもしれないし、そんなケースもきっとあったことだろう。にもかかわらず、これに賭けたという姿勢が、短期間での評価やコストパーフォマンスと相容れない中、素晴らしいことだ。
「そんなアテのないものに、そこまで賭ける余裕はないよ」とは一理あること、その一方で、「ムダでもいいじゃないか、やってみれば」が時に威力を発揮することも、侮れない。
モノづくりの現場ですらこうしたことがあるのなら、主観のかたまり、わからない未来への投企である学校教育の評価やCPが、校長在任のわずか数年間(ドイツでは、20年同じ学校にいる校長はザラだ)の間で問われるなんて、いかに乱暴なことかがわかる。
「どうなるかわからない」だけで良いという訳ではないが、「わからなさ」「おもしろさ」をより組み込んだ発想で学校の経営を見ることの大切さを、この事例から確認できるのではないだろうか。