中学生の英語のワークブックを見て、今更ながら驚いた。アクセントの箇所を示すのに、カタカナが当てられているのだ。
たとえば、piano。 pi, a, no それぞれの分節の下に、ア、イ、ウ と振られ、どこにアクセントが来るかを答えさせる問題になっている。
生徒の頭の中では、①アクセントはa やな、②これはイ にあたるな、と2段階を要する。ややこしい。a に引っ張られて、ア と答えてしまう場合もあるんとちゃうかな。ここで求められているのは、記号の置き換え能力。
これは出題者、採点者の都合から起こっていること。はっきりと答えを確認するための「証拠集め」だから。
こんな経験を積みながら、会話をイメージさせる実用英語など、どうしてできるようになるはずと思うのだろうか。実用とは、相手と状況に応じた臨機応変なもの、ハンドルの遊びが相当にある。
おもしろいことに、自分の側だけで「きっちり」内容を作ってしまうと、相手に対応しにくいことが、まま起こる。「いい加減」の良さはそれゆえだ。
「でも、基礎基本が大切でしょ」と返ってきそうだけれど、ぼやっとわかっていることも大切。あんまりきっちり覚えてしまうと、たとえば、Willkommen(ドイツ語)が welcome と同じ意味なのに、英語の l が一つ少ないこと、同様に、Adresse と address もどうして英語 d が一つ多いのか、気にしてしまうでしょ。
「だいたい、そんな感じ」という理解も、柔軟性を担保する上で重要だと思うのだけれど。