教育上の自由
一番ネガティブな先生は誰?模範解答に同僚の名
横浜市教委は、市立高校で、地歴公民科の男性教諭(33)が3年生の期末試験で「この学校で一番ネガティブな社会科教諭の名前を答えよ」という不適切な出題をしていたと発表。試験終了後、教諭は試験全体の模範解答を配布し、同僚の男性教諭(30)の名前を挙げていた。市教委は処分を検討する。 発表によると、「経済」の試験で計68問の1問として出され、36人が受けた。模範解答を見た保護者から学校に連絡があった。試験前の授業で、「ネガティブな考え方」を説明。「授業の心配をしすぎている教師」として同僚の話をした。問題には36人全員が同僚教諭の名を書いた。試験は採点前という。(2012年7月9日 読売) ------------- 冗談かというような話ではある。しかし、こうした例が起こったからといって、学校で統一の問題をとか、市立高校として統一的に、とはできないところが、学校という組織の特性を示している。 つまり、学習指導要領があろうと、教科書があろうと、学校経営の方針があろうと、どんな授業になるのか、どんな試験をするのかは、おおむね授業を担当している個々の教員に委ねられるのが、実際的である。それを越える単位で共通化しても、「そこは扱っていない」、「そのようには教えていない」とクラスごとに疑問や不満が必ずと言ってよいほど起きるから、実現不可能なのだ。 だからこそ、個々の教員には「教育上の自由」が認められ、教育の目標により近づくように、教育のあり方を創意工夫することが求められる。そこにこそ、専門職としての自らを律することができるかが、問われるだろう。 問題はその職業的要請に教職が応えられるかどうかである。わたしの大学院時代、「学問の自由」という言葉に隠れて、一度も授業することなく「優」の成績を出した助教授、連絡することもなく無断の休講を何度もした教授、かれらも自らを律することに失敗した人物である。もう四半世紀も前のことだけれど、なお思い出させてくれるのは、反面教師としての教育効果があるということか。 かくも、曖昧な世界の業務は、自ら律されること(自分がそう思わなくても、そのようになってしまう、という意味の)を踏まえつつ、また、自ら律することの難しさにも向き合うことが求められている。それがどれほどできそうなのか否か。この点の見極めなしに、「教員養成の高度化」や「教職の専門職化」など、もっぱら教育する(「与える」)側の議論に終始している様は、ほとんど茶飲み話の域を出ないかのようである。 まずは、「大学における教員養成」を担っている大学教員から。理由不明の休講はありませんか、授業に参加していなくても、返事があっただけで「出席」とカウントしていませんか、学生のレポートは読んで返していますか、あるいは、この授業が学校教育の実際とどのような位置関係にあるかを説明していますか等、自ら律した教育活動を行っている自負はありますか。「学校ボランティアの推奨」と大学から放り出したり、「学生に発表させて終わりの授業」とほったらかしで、お茶を濁してはいませんよね。
by walk41
| 2012-07-10 10:20
| 学校教育のあれこれ
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