これこそ管理なのに
教職員への聴き取り、記録残さず 朝日新聞、2012年7月19日
大津市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、学校側が自殺後、生徒へのいじめを見聞きしたかどうかを教職員約60人に確認した際、聴き取った内容を記録に残していなかったことがわかった。教師らは自殺前、2度にわたっていじめの情報が寄せられながら「けんか」と判断するなど、当時の学校の対応が問題となるなか、検証に必要な記録が残されていなかった。 文部科学省は昨年6月、有識者会議がまとめた「子どもの自殺が起きたときの調査の指針」で、再発防止に向けた具体策を示した。数日以内に子どもから聴き取りをするとしたほか、「原則3日以内にできるだけすべての教師から聴き取る」「校長や教頭が聴取するのが一般的で、教師の話しやすさを考慮し、必要なら教育委員会など学校外の者が聴取する」とした。 市教委によると、学校では自殺後間もなく校長ら複数の管理職が教職員1人ずつから聴き取ったが、どの教職員が何を話したか、書面に残していなかったという。指針では、学校とともに教育委員会も調査主体となるが、市教委は当時、学校から「(男子生徒は)仲の良い友人たちと過ごすことが多く、遊んだりふざけあったりする場面があった」「時おりふざけすぎが気になることもあった」と報告を受けただけで、個々の教職員の聴取内容は確認しなかったという。 -------- 教職員間の意思疎通、情報共有、「風通しの良い」職場づくり、などと繰り返し喧伝されながら、この有様。 学校管理職には、「いじめ」の発見や措置、そして自殺後の対応と、いずれの局面においても、管理責任者としての自覚、能力が欠如していた、と言われても仕方ない様子が浮かび上がってきた。 「忙しくて、それどころではない」って? だから、言っているでしょう、学校事務職員を管理職と扱いなさいと。彼らは記録を作成し、保存し、周知するプロフェッショナルだ。その場にならないとどんな板書をするかわからない教職とは、正確さの質が違う。 彼らを同席させ、教職員あるいは生徒の発言を録音し、外注でもよいからテープ起こしをし、文書として記録を作成すること。それを部内資料として、教職員に知らせ、次の事態が起こったときに、すぐに対応できるように準備すること。こうしておけば、ひょっとしたら自殺は防げたかもしれないし、その後の後手後手の対応もずいぶんと抑えられ、保護者や世論の心証、あるいは裁判の推移もずいぶんと違っているはずだ。 学校が組織として動くために、必要な情報管理、これを一番担いうるのは学校事務職員ではないのか。彼らをなぜか管理職と呼ばないことの不思議、その一方で、学校経営の中心にあることを求める校長や教頭が、なぜか管理職と呼ばれることの不思議。学校って本当に不思議なところである。
by walk41
| 2012-07-19 20:46
| 学校教育のあれこれ
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