学校・教職員の現在と近未来-榊原禎宏のブログ

「俺はエライ」と思ったら教授を辞めよう

論文指導せず・土産強要…2教授アカハラで停職

 東京学芸大は10日、いずれも教育学部の60歳代と50歳代の男性教授が大学院生に対してアカデミック・ハラスメント(嫌がらせ)などを行ったとして、それぞれ停職3か月、同1か月の懲戒処分にしたと発表した。
 同大によると、60歳代の教授は昨年度、女子大学院生1人に対し、授業への出席を認めず、論文の適切な指導を行わなかったほか、指導方針を巡り同僚教授を大声でどなるなどしたという。50歳代の教授は昨年度、複数の大学院生に長時間、教授の論文の入力作業を強いたほか、学生にリストを渡し、旅行先から土産を買って来させたという。 両教授はいずれも学内の調査に「ハラスメント行為はしていない」などと否定しているという。(2012年10月10日 読売新聞)
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ことの真偽はともかく、こうしたことらしきことが起こったとすれば、その背景には、「俺は偉い」症候群があるのだと私は思う。

どんな相手であれ、強権的に出る(堂々としているとは違って)ことができるのは、錯覚とも言えるほどの過剰な自信に支えられているから。相手は相手なりの世界やモノの見方があると考えられれば、それほど偉そうにはできないものね。

自省を込めて言えば、「相手がこう思っているだろう」という見立てが、あっさりと覆されるのは決して珍しくない。むしろ、「自分がいかに想像、想定しようとも、実際はその範疇にない」ことの方が多く、私に限られるのかもしれないが、あれこれ考えてもせいないということが、今はよくわかる。

だから、有能感というか効能感というか、自分は大したものだと思ってしまう辺りが、失敗のもと、そこに足を取られてはいけない。とことん、自分を批判できる姿勢や体力を持てるようにしなければ。

たびたびの恨み節で恐縮だが、大学院時代に出会ったある教授は、自分のエラさを誇張するために、他者をいたずらに使うことで、権力を示威する人だった(ように、当時の私には思われたし、今でもそう思う)。大学の看板や、教授という肩書きなど、人間社会が作り出した、取りあえずの決め事にしか過ぎないのに、それを絶対視して、つまり相対化できずに、威張るような人だったと記憶している。研究者と自称する人間が物事を相対化できんでどないすんのん、情けない。

とりわけ、人文・社会系の研究においては、その議論の基本が解釈学でもあることを知らず、あたかもそうした存在であることが絶対的かのように振る舞ったその様子を今なお思い出すに、いい年をして本当に気の毒だったと思う。と同時に、関わった学生にとってもまったく気の毒な話であった。当時は、アカデミックハラスメントなんて言葉は、ほんの欠片すら見当たらなかったけれど。
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by walk41 | 2012-10-10 22:24 | 研究のこと | Comments(2)
Commented by at 2012-10-13 22:41 x
私もこのニュース、を見ました。いま「俺は偉い」という症候群はよく見えます。私の身の回りにそんな人がいます。いつも偉そうな様子です。もちろん、ある人はその人が本当に偉いと思うかもしれません。しかし、本当の偉い人は「俺は偉い」という考え方がないのではないでしょうか。
Commented by walk41 at 2012-10-13 23:50
ブッダの教えには、執着を捨てよとあるそうです。すべては無常であり、留まることがありません。鴨長明の「方丈記」にもあるように、水面に浮かぶうたかたです。自分もそんな現実の一断片に過ぎないのに、ひとかどの者と勘違いしたり、それが久しく続くと思い込むのは、現実を見ようとしない姿勢の現れと言えるでしょう。大いに他山の石としたいものです。
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