NHK,クローズアップ現代は、お葬式が出せない。多死社会になって斎場が混み合い、中には亡くなってから葬儀まで10日間を待つケースもあること、新たな斎場に反対する住民と建設を進めなければならない行政との軋轢、あるいは住民が誇れるものをと、住民参加の斎場づくりの取り組みが紹介された。
誰しもお世話になるだろう斎場だけれど、自分の近くにあってほしくはない、という矛盾。生活と地域との関わりを考えると、「地域とともに」の難しさが浮き上がるように思う。
子どもが大きくなること、これは未来への希望だからおおむね歓迎される、だから「地域とともに子育てを」とは言いやすいのだろう。ならば、「地域とともに葬儀を」も言えないとバランスを欠くことになるが、こちらはやや難しくもある。
道路や鉄道、飛行機に限らず、SNSと人々の移動性(mobility)がかつてなく高まる中、教育の領域だけではない。労働、余暇、医療や福祉、必ずしも地域にあるわけではなく、そもそも求めすらしない場合もある。
にもかかわらず、子育ては地域で、とどれほど言うことができるのだろうか。それとも、高齢化社会においては、かえって地域に人々が根付くから、これまで外に出ていた機能が地元に返ってくるのだろうか。人口変動と私たちの暮らしは、どんなふうになっていくのだろう。