教員養成という議論
大阪市立高校での体罰、暴行、自殺事件が、全国に波及している。愛知県立豊川工業高校の陸上部監督の教諭が、部員に繰り返し体罰を加えていたことが分かったのも、その一つだ。
こうした教員の養成を担っていた大学、すなわち、教職課程認定を受け、「大学における教員養成」の一翼を担っていた大学は、今回の責任をどのように考えるのだろうか。 「いや、大学時代はそんなことに気づきませんでした」あるいは「大学時代は教員にふさわしいと思っていたのですが、教職に就いてから変わってしまったのです」という声が返ってくるのであれば、いったい、教員養成ってどんな責任を負っているか、と問われなければならなくなる。 大学に勤めて四半世紀近くになるが、学生時代にどうであったかが、その後の長い教職人生にどれほどの影響を及ぼすかについて、実証データが見当たらないことは十分に承知しているつもりだ。その上でなお、彼らの思考体力あるいはメタ認知-これらはいずれも即、測ることが難しい領域だけれど-を訓練することが大切だろうと思わされる。 教職資格を得てからの変化が著しいと考えられるのならば、教職につくまでの間、つまり教員養成期間をどう設計するかが、あまり意味を持たないことは明らかだろう。ならば、職についてからの彼らのあり方を、自分でどのように見つめられる仕掛をセットするかが問われるべきだ。初任者研修や○年経験者研修は、教員の行動にさして影響を及ぼさないと考えられそうだから。 だから、繰り返し書いているけれど、「教員養成の高度化」など、暇人の言葉遊びに過ぎないと。是非、これに批判をいただきたい。教員としての資格は、大学卒業で十分、それ以上、足したからといってどれほどの意義を見出しうるのだろうか、皆目わからないのだ。重ねて批判を頂戴したい。教員養成や教師教育という言葉を止めませんか、これから問われるのは、教職学習(Learning as Teaching Profession)のあり方だと。
by walk41
| 2013-01-26 22:23
| 学校教育のあれこれ
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Comments(3)
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TYOUYUE
at 2013-01-26 23:17
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そうですね。養成というのは教員になる前の過程を強調しています。教員になったら、これで終わりの意味があると思います。学習は教員になったあとで、勉強し続けることです。そして、教員自身の成長につれて、変わりたいという意識を表します。
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walk41 at 2013-01-27 09:22
同感です。教員としての基礎的な資格を構成することは、「専門職」として必要ではあるでしょう。しかしながら、その内実は、いわゆる教科専門・教科教育・教職教育のいずれにおいても、大学間に定型を見出すことは極めて難しく、授業者と学生の属性や志向、授業規模・実習先の条件など、実に多岐に及びます。何しろ、教育について教育するのですから、教育-学習のズレ、屈折が二重に起こるのです。これにスタンダードと命名しようとしても、「多様であることが標準」の域を超えるのは難しいでしょう。だからこそ私は、教職学習を中心にした議論が生産的と考えるのです。
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Eulenspiegel
at 2013-02-09 00:17
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私、教育学(?)についてはまったくの素人ですが、例えば教育大学を卒業した教師志望の方々に、例えばお医者さんのインターンシップ(?)のように、何年間か現場での実習を課する、というシステムはどんなもんでしょうか?大学を卒業して教員の資格を得た後に、現場での研鑽を積んで今の教育現場の実際や、教師は如何にあるべきか(現場の先生に対して肯定的にも否定的にも)を学ばせることは、いわゆる「教員養成(の高度化?)」とはいえないでしょうか?
先ほど、「何年間か」と考えたのは、一つの現場だけでなく種々の現場(校種?)での研鑽を積ませることを想定しましたので、卒業した方の取得された免許の種類や数にもよるでしょうが、小学校も公立だったり私立だったり、また養護学校(今は特別支援学校?)や中学校などにも派遣されて経験を積むべきかと思いますが、こんな考えは荒唐無稽でしょうか?
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