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学校・教職員の現在と近未来 Gegenwart und nähere Zukunft der Schule und ihrer Mitglieder

就学援助

1月26日のNHK「ニュース深読み」は生活保護がテーマ。生活保護基準の切り下げと報じられる中、学校教育に関わっては、就学援助の対象となる子どもが約157万人(2011年度、156万8千人)に達していることに驚かされた。何となくは聞いていたものの、かまけており、ちゃんとわかっていなかったのだ。

その後、インターネットで検索すると、この数値は同調査開始時1995年のおよそ2倍にあたり、今や小中学生の16%に上ると、昨年の秋に既に報じられていたことを知った。

高いところでは在校生の半分が対象になっているところもある、と番組登壇者が語っており、地域差が大きいことも想定できる。国から補助金が出る生活保護世帯が対象の「要保護」世帯と異なって、それに近い状態という「準要保護」世帯は、税源移譲によって自治体が認定するため認定基準が一律ではないが、京都府は20%、実に子ども5人に1人が就学援助の対象という。

貧困から、いじめや不登校に繋がる可能性もあるだろう。あるいは、就学援助を受けているという烙印(stigma)を押されれたと捉えた故の「問題行動」の可能性はないだろうか。

近代社会における能力主義とは、それまでの血統や相続された財産の多寡ではなく、個人として評価されることを意味してもいる。「お祖父さんが立派だったから」とか「お金持ちの家だから」ではなく、その子の才能と努力で評価するという理念のはずだが、現実は少なからず違っている。

どの保護者のもとに生まれ落ちるかを子どもが選ぶことはできない。就学援助を受けずとも学校に通えるような環境が生まれることを望む。この問いを解く、つまり「こうすればいい」とアイディアを出すのは、まったく容易でないことを知りつつも。
by walk41 | 2013-01-27 19:29 | 学校教育のあれこれ | Comments(4)
Commented by もくれん at 2013-01-28 19:41 x
就学援助受給生徒は年々増加している事は否めません。見方をかえると、給食費や教材費などが無償であれば特別に援助をうけなくても安心して学校に通わせる事ができるのではないかと思います。
学校にとっても集金事務や援助申請事務もなくなります。
HPで無償化をした教育委員会をみつけました。すべての学校がそうなることを願ってます。
Commented by walk41 at 2013-01-28 22:00
いま少し探したところ、埼玉県の滑川町がその一つですね。給食費無償化による町の負担は1億6千万円ほどになるそうで、小さな町ならば結構な負担かと思います。また、群馬県前橋市は第三子から無償という方法をとっているようです。

まさに物の見方によるのですが、給食にすでに税金が投入されているのだから(給食費という名前が変ですね。材料費などと言うべきでしょう)、ましてや自校方式など一番コストの掛かる方法では半分以上が税金なのだから、思い切って全額税金でというのも一案かもしれません。

googleの社員食堂は無料だそうですし、山崎制パンは自社製パンは食べ放題とのkと、学校は会社とは少し違いますが、こうしたアイディアを一度試して見るという姿勢も(試して、止めることもありを含めて)、もっと認められるようになってほしいものです。
Commented by もくれん at 2013-01-29 00:05 x
義務教育は無償でなくてはならないとあるにもかかわらず、公費でまかないきれず、後援会費、PTA会費から援助をうけて学校が運営されています。そして、副教材、テストも保護者負担です。とても援助費ではまかないきれず家計の苦しい家庭には負担となっています。また、部活動も盛んになればなるほど遠征費等かかってきます。申請書等からみえる厳しい家庭の状況を目にすることもあり、心を痛めています。税金の投入の分配をちょっと見直して改善できるものではないかもしれませんが、なんとかならないかと日々感じているところです。
山梨県早川町も無償化をされているようです。小さな町だからできるのか、小さな町でもできるのかわかりませんが、この取組が広がってほしいと思ってます。
Commented by walk41 at 2013-01-29 11:24
早川町の例は、おそらく子どもが特に少ない町ゆえの取り組みという面があると思います。町の存続が危ぶまれる中、新しい人を迎えることを含め、子育て支援の優先順位を高くしているのでしょうね。少子化はどの町にも見られることですが、「教育-学習以前」の格差を少しでも減らすべく、公費でカバーされる領域が広がってほしいと思います。それと同時に、「どうしてそれだけかかるのか」「代替案はないのか」と、学校からの説明が求められる点も忘れてはならないと考えます。
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榊原禎宏のブログ(Yoshihiro Sakakibara Blog) 教育学の一分野、学校とその経営について考えます(um die Schule und ihre Verwaltung und Management)
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