「正しさ」の本家争いでなく
先日、ある教育センターでの研修について「風通しの良い学校づくり」を題目に、と話があった。また過日は、来室された校長先生から「風通しの良い学校づくりが課題」と聴いた。
なるほど、風通しが必ずしも良くないのが学校の現実の一面なのか。さてここから問題、この状況はなぜ起こるのか、そしてどうすればよいのか。 原因から結果が生じる、と考えれば、ある事実が起こる背景を探ることが、「急がば回れ」である。ところが、教育委員会や教育センターなどでの講話や研修の多くは、原因の説明に至らずに、「それはともかくも」意識改革だ、実践に踏み出すことだ、と説教が先んじる。教育活動の最前線では、ゆっくり考える暇がないからだろう。 そこで、岡目八目の良さを活かせるだろうか、原因を考えてみる。その一つは、個業的な業務遂行が日常的であって、同僚とどのような業務分担になっているかがよくわからず、このため遠慮も手伝って、それぞれにお任せ状態になっているためではないだろうか。 お任せなのは、それぞれが担当する授業や学級経営は言うに及ばす、教育課程外にあるのに学校の看板だったりもする部活動など最たるものだ(大阪市東成区の市立中学校で、ラグビー部顧問を務める男性教員、50歳代が、校内の武道場にソファや冷蔵庫、テレビなどを持ち込み、複数の部員とマージャンをしたり、月に1、2回寝泊まりしたりしていたことが分かった。読売新聞、20130531)。校長たちはこのことに気づかなかったのか、気づいていても何も言わなかったのか。桜宮高校での暴行事件をまたも想起させる。あれだけ活発に行われているのに、学校評価の対象になっていなかったりするのだから。教育課程として組まれていないから、評価の対象にできないのだろう。 もう一つは、会社で言えば商品、完成品が、学校にはほとんどないにもかかわらず、それに相当する「正しさ」はあるはずで、「絶対的に自信のあること以外は言わない」という前提が成り立っているためではないだろうか。教育活動の多くは、誰が見ても同じように見える訳ではなく、その結果も不明確極まりない。だから、「みんな違ってみんないい」になってもいいはずなのに、教育を担うという立場の不自由さが災いするのか、「正しさ」信仰が強いものだから、「あのセンセイには、あのセンセイなりのやり方がある」と、議論を控えてしまうのではないだろうか。 こんな予想が多少なりとも的を射ているのであれば、①個業的な部分が残ることは認めた上で、協業するような仕掛けを考えてみること。合科的な宿題を出したり、学級担任をときどき交替したり、なんてアイディアはどうだろうか。②「正しさ」はそんなにないことを確かめ、だからこそ自分たちの視野を広げ、相対感覚を強める方向を目指すこと。合意形成や一致団結ではなく、いかに違う、別の見方ひいては行動が可能かを提案するようなコミュニケーションに努めること、遊び心のある研修で、自分たちを笑うこと。「そう考えなくてもいいか」と気持ちを楽にすること。 記事を改めたいが、「正しい」を強調する教員が、意外にもそれに忠実でないことがある。ならば、そんな「いい加減な」自分を認めることも含め、裾野を耕すような仕事の仕方(小さな穴を深く掘るのではなく)が有効ではないだろうかと、この頃考える。現職教員のみなさん、こんな見方をどう思われますか。
by walk41
| 2013-06-01 14:30
| ことばのこと
|
Comments(0)
|
カテゴリ
以前の記事
2024年 03月
2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 フォロー中のブログ
最新のコメント
メモ帳
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||