NHK,朝のニュースに、「世界のニュースzapping」 という記事の一部を紹介するコーナーがある。そこで知ったのだが、韓国のKBSニュースは、「笑顔の裏には…」と、接客業に従事する人に鬱が少なくないことを報じたという。
そうした報道に触れると思わされる。接客業は、あるサービスを提供するだけでなく、それに伴う表情や身のこなしが求められる点で、感情労働である。某ファストフード店の「スマイル0円」のように。
ハンバーガーや飛行機・電車などでの移動、あるいはおいしい料理や気持ちの良い温泉、と具体的なモノがある場合ならばまだしも、にこやかで好意的な対人関係そのものを「売り」にする業態の場合、その感情操作はいっそう厳密であることが求められる。
酒の力を借りて気持ち良くさせることが可能なバーは、モノ、すなわち商品がほとんどない業態の中でも、ましなほうかもしれない。「コールセンター」や「お客様センター」と呼ばれる、総合案内や苦情受け付けでは、電話ゆえに表情が見えない相手の気持ちを探りながら、怒らせず穏便に済ませることが求められるが、それは決して容易ではないだろう。
言いがかりや勘違いにもとづく怒りにも対応すべく、「品質向上のため」と称して客とのやりとりを記録してはいるけれど、多少の悪態には耐え、無理難題にも何とか対応しようとする。その姿勢の結果、仕事を終えてから、自分の表情が出せなくなった、とトラブルを抱えるようにもなっているのだろう。
ペティ-クラークの法則とも言われる、第三次産業の現在の興隆は、一見みえにくいところで私たちの身体に強い影響を与えているようだ。こんな点から、学校教育における労働について、ちゃんと考察したいと思っている。