教頭研修にて、義務教育で特に熱心に取り組まれている校内研究を取り上げる。
教員と児童生徒の属性、人数やその時々の組み合わせによって、無限の生じ方がありうる、およそ再現性が予定できない、授業という事象について、「〜すれば、〜になるだろう」という文法を適用しようとすることが無理なのに、仮説ー検証というスタイルを求めることから、研究主任など苦しい立場に置かれることになるのでは、と提案したところ、「あれは、ごっこ、ですね」と応じた教頭先生がいた。なるほど、言えて妙だなあ。そういうつもりで、というフィクシィンだということですね。
もっとも、多くのごっこ遊びは、似た現実を持つのに対して、授業「研究」のごっこは、絵に描いた餅、決して現実になるわけではないのだけれど。
この教頭先生はこうも話した。「あれは、小学校の文化遺産です」と。ならば、取るべき方向は明らかだろう。ごく限られたところ、たとえば博物館に「昔、こんなことをしていました」と残しておけばよい。あちこちに遺産がある必要はないだろう。
それにしても、この地でも根強い「授業研究」スタイル。この桎梏を解き、やりがいのある児童生徒に還元される学校経営へと舵を切る、少しの勇気が求められる、と重ねて思わされている。