電車に乗ると、京都に修学旅行に来ている中学生たちが数人、それ用かしら、いずれも大きな切符を握りしめていた。
しばらくすると、並んで座っていた女の子が一人、立ち上がって、近くの女性教諭にひそひそと話しかける。どうしたのかなと思って見ていると、ひとつ向こうの男性、校長の方をちらちら見ている。あとでわかったのだが、「校長先生とジャンケンしてもいいですか」と教諭に許可をもらいにいったのだ。
了解が出たのだろう、横に座っていたもう一人の女の子も誘われて、二人して校長とジャンケンをしにいった。校長もこれに応えたようだ。笑いながら席に戻った彼女らは、向かいに座っていた女性教諭ともジャンケン、そして、その横に座っていた男の子ともジャンケン、「勝って、負けて、買った」と指を折って数えている。そうこうするうちに、乗り換え駅に着いた彼らは、他の多くの中学生たちと一緒に電車を降りて行った。
女性教諭が手にしていた「修学旅行」の綴りに少しだけ見えた学校名はけっきょく判別できなかったが、いずれにせよ中学生三年生だろう。いくら旅先で楽しいとはいえ、かくも素朴な彼らの様子を見るに、あれこれはあるだろうけれど、学校生活が楽しいのだろうな、教職員も「教育的」かどうかはともかく、生徒といい感じの関係を築けているのだろうな、と強く感じた。
と、同時に、自分の見聞きした話を「どこでもそうやで」と言わんばかりに一般化しようとする評論家や少なくない研究者(自己反省を含めて)への批判とも捉えられるかなと、思わされもしたのだ。
明日までのようだったけれど、京都での旅行を楽しんで帰ってね。