NHK、プロフェッショナル。209回目は、うなぎ職人の金本さん、85歳。
養殖うなぎに替えざるを得なかった時代、白ワインを店に導入するようにもなって初めて、「今まで自分は何に縛られていたのだろう」と振り返るシーンも印象的だったが、最後の一言が、なお重かったように思う。
プロフェッショナルとはと問われた氏は、いくつになっても追求心がなければと語ると同時に、「もう一つ言うなら人柄ね。愛される人間にならなきゃ、かわいそうな人間になると思う」と。
ここで、愛される人間を、生きることへの謙虚さ、ひたむきさ、あるいは健気さが伝わる人と置き換えられるだろうか。ならば、「わかったようなこと」を言わないで、「実るほどに頭を垂れる稲穂かな」と自分を疑い、懸命に「イデア」(理想)を求めるとともに、突き放して眺める相対感覚も大切ではないだろうか。
翻って、歳を重ねたから、職位や給料が上がったから、なんとか委員になったから、と自分を勘違いする人もいるように思う。笑顔乏しく傲慢で、心ない言葉と振る舞いで周りを傷付ける。これが「愛されない人」ではないだろうか。
いろいろなことがあるけれど、とにかく楽しく生きること。楽しくあれるように、「子ども力」-おもしろい、不思議、へえ、と思える感性、身体を保つこと。わからないことが一杯で楽しみに思えること、その結果、一日が一年が長く感じられること、こんなことが大切なように思う。「幸福論」でアランはこうも言っている、あなたが楽しくあることは義務である、と。