2013年全国学力テストの結果が報告された。例によって、ランキングに注目させる新聞記事が少なくないが、個々の問題を見ると、これって問題文の表現がおかしいのでは、と思わされるものを見つけることができる。
中学校の数学Aの(4)、「東京から日付変更線までの間にある都市との時差は正の数で、西にある都市との時差は負の数で表すことができます。例えば、東京とウエリントンの時差は正の数を用いて+3時間と表すことができます。東京の時刻を基準にして、東京とカイロの時差を表しなさい。」と世界地図と各都市が示されている問題だ。
正解は−7(反応率65.6%)だが、7と回答している者が13.8%ある。確かに、東京から見て西に位置するカイロは、問題文の前半で、西はマイナスとあるから、ただの7では間違いだろうけれど、「東京とカイロの時差を示しなさい」と尋ねられると、7時間と答えてしまうのは、理解できていないからと解釈して良いのだろうか。
そうではなくて、「東京とカイロの時差は、どのように示すことができますか」と、普段遣いの表現とは違うものを求めていることを明示するような問題文であれば、回答状況も変わってくるように思うのだけれど。
細かな点に注意できることも学力とは言えるだろうけれど、わかっておくべきこと、できるべきこと、の整理がなされた問題になればと思う。昔、アインシュタインが新聞記者に音の早さ(音速)を尋ねられた際、「そんなことは知りません」と答えたと言われているけれど、人の能力を測ることは難しい例と捉えて良いだろう。
楽観に過ぎるだろうか。上の問題で7と答えた生徒の大半はわかっていると判断することは。