http://www.stuttgarter-zeitung.de/ より写真を引用。ドイツの学校で、おそらく今も一般的なのは、写真のように二人用の机である。日本の学校に馴染んでいると、とても新鮮に見えるが、これに変化の兆しが見えるなあと、前回の訪問で感じた。
それは、一人用の机が導入されている場合のあることだ。まだまだ少数派だとは思うけれど、革新的な取り組みをしている学校では、このタイプの机を購入して、新たな活動を進めつつあると見た。
まず、それぞれに分かれて、自習ができる。二人組の机と比べれば小ぶりなので、廊下などに持ち出すこともできる。教室で集中できない生徒への対応にもなる。あるいは、事前にテープなどで机を置くべき場所を床に示しておき、教員の考える形に机を並べることも簡単にできる。いろいろなバリエーションが考えられる。
ドイツで「個に応じた指導」をより行いやすい一つの環境として、机が捉えられていると見れば、日本のとくに中学校あたりでよく見る、一人用の机なのに、なぜか隣の子とくっつけることを求め、しかも男女の組み合わせだったりするような「学級経営」をどう評価すればいいのだろうか。
「いいな」と互いに思う相手ならば問題はないが、「ちょっと…」と思う相手、ましてや思春期の男女が、仲良く机をひっつけるはずもなく、わずか数センチの間隔を空けることに躍起だ(自身の思い出でも、似たようなことはあった)。これが生徒の学校生活や授業の様子をけっこう規定していたりするのだから、こうした物理的環境に必ずしも心を砕かない「子どものみとり」なるものが、いかにいい加減かもわかるというものだろう。
私のゼミ生で、机の配置と教員の思惟との関係を卒業論文にまとめた君もいるけれど(いま、奈良県で小学校教員として働いています)、一人用の机はどのように活用されているか、その可能性や限界はどうなのかと、考えてみることも大切かと思う。