大人数での授業が終わり、後かたづけをしていたら、学生がひとり、遠慮がちに声を掛けてきた。
失礼なことですが、と言う。留学生の一人だ。その言葉に内心驚きながら、どうしたのと尋ねると、「先生の関西弁、わかりません」と言われたのだ。え-、そんなにいっぱい方言を発していたかしらん。
緊張した空気を生み出さないように、敢えて方言を遣っていた節はあるけれど、さほど多用した覚えはない。けれども、本人はそれが理由でわからないと言うのだから、気をつけなければならない。ごめんなさいね。
授業者は自分を観察できない、だから、どのように授業について研究を進めるのが生産的か、という論文を先月末に書き上げたところだが、それを地で行くようなエピソードになった。
だからいっそう思う。授業をしながら自分を観察するなんて至難の技ということ、また、だからといって他の教員が授業を見に来たら、本来の授業に干渉してしまうこと、じゃあどうすればいいのかについて、互いに知恵を出し合おうよというメッセージが真っ当だろうことである。