外からからも変えにくい学校
教育委員会や教育センターなどの機関が、学校の革新を促すべく、開設される講座への参加を教職員に求める。このほか、各学校に赴いて、関係者と話をする中で少しずつ改善や改革の気風を生み出そうという事業も行われている。
指導主事ほか当該の学校にとっての第三者が、「岡目八目」ゆえに見えるところを指摘し、また遠目ゆえに見間違えている指摘も受けながらと、互いにキャッチボールをして、その学校なりに変わっていく刺激たることが期待されているのだろう。 そこに、正しい見方そして正しい進め方なるものは存在しない。児童生徒の前という最前線にいるからこそ見えること、見えにくいことがあり、第三者と遠いからこその得手不得手もある。互いの強みを活かし、弱みを補う上で、フィールドとの距離が異なるメンバーで観察、解釈、議論する意味は大きいと思う。だから、第三者はいわば江戸末期にやってきた「黒船」であり、これを機に各学校で議論が起これば十分である。まちがっても、「ありがたいお言葉」を述べるような立場ではない。 このように踏まえれば、勢い第三者の立場はいささか上に位置づけられはするけれども(学校にとっては、もちろん、目の上のたんこぶ、鬱陶しいことだろう)、「現場を一番知る」立場として当事者が反論し、批判することが期待されて然るべきだろう。また、外部からの指摘を受けてまずは自身を振り返るだけでも効用を期待できる。多少の傷つけあいは覚悟の上、互いを鍛え、復元する力を高める機会とすれば良いと思う。 にもかかわらず、その学校で見た事実をいかがなものかと、第三者としてやんわり指摘するだけで、どこからかは知らないけれど、取り消せ、あるいは修正せよと声が上がりかねない。さらには、関係機関が自主規制からか掲載しないといったことも起こりうる。 こうした動きが生じるのは、指摘が的を射ているからなのか。ピント外れならば捨て置けばよいものを、なぜ一意見に過ぎないものにかくも拘るのだろう。そもそも、学校内では上がらないだろう声を第三者ゆえに指摘できることが、この類の事業の意義なのだから、耳に痛いのは望ましいことですらあるはずだ。決して正しい見方でもないのだから、参考意見として聞けばいい。むしろ、第三者のものの見方を批判し、自らの教育実践のもっともらしさを強調してほしいくらいである。 かくして、外部からの辛口の指摘は忌避、排除され、「学校はそれぞれに頑張っている」神話が生き延びる。学校は中からは変わらず、外からも変えることができない。学校改革、教職員の意識改革と、声高に叫ばれはするが、その程はなはだ心もとないのだ。自身を批判されたくない、あるところを批判すると思わぬところから横槍が入る、という保身が常に頭をもたげる。 嫌われてもやるという覚悟、この欠落がこうした事態をもたらしているのだと思う。私は徒労感、絶望感に襲われる。
by walk41
| 2014-05-30 08:44
| 学校教育のあれこれ
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