学校は夏休み目前、楽しみに待っている生徒も多いことだろう。
夏休みとはいえ、宿題のあるのが世の常、とは言い過ぎかもしれないが、さすがにゼロという訳にもいかないのだろう、各教科から休み中の課題が出されている。
生徒と保護者には、教科をまとめた一覧表が渡されてはいるけれど、ふと、こうも思う。各教科の教員は生徒が全体としてどれほどの負荷を受けているかについて、いかに想像力を働かせているだろうかと。各教科で、「このくらいは」と出したものが教科の数だけ積み重なり、一人の生徒に降りかかる。夏休みの期間中、おおよそどれほどの時間や労力をかけて臨めばできるほどの量か、について、教員全体として合意できているだろうか。
このことは、日頃の宿題にも通じる。教科担任制の中学、高校では、各教科を担当する教員あるいは教科教員グループの裁量で宿題が出される。教員はそれぞれの教科についてはわかっているものの、全体としてたとえば1週間のうちに一人の生徒がどれくらいの宿題をこなすことを求められているかを了解しているとは言えないだろう。それは、教科特性が相まって計測困難であり、また、生徒の個体差もあるために、一様には語れないからでもある。
かくも、学校のそれぞれでいかに業務が遂行されているのか(宿題の出し方はその一つである)を、学校全体として掌握できないのだから、その経営あるいは運営を診断、計画、実施、点検・評価することが、事実上できないことは明らかだろう。だから、何度でも言う。学校教育についてPDCAモデルを適用しようとするのは、現実的ではない、と。
それにしても、せっかくの夏休み(文字通り、休みである)なのだから、ちょっとは休めるように宿題も考えてほしいな。