中学校の校長と話す。この地域は、子どもを家業の後継にと考える保護者が少なくなく、学校から見て優秀だなあと思う生徒なのに、いわゆる進学校に進まず、地元の高校を選ぶケースが多いという。進学校に進んでも、大学にやると故郷に帰ってこないから、あるいは大学にやる経済的な余裕はないから、という保護者の考えが背景にあると聴く。
保護者の教育権から言えば、生徒のこうした進路選択も真っ当なのだけれど、子どもからすれば、十分な雇用機会もない、何よりも若者が好む楽しみも少ないこの地で暮らすということが、はたして幸せなのだろうか、と考えさせられる。
街中にいると、こうした話は昔のことと考えがちだけれど、駅からクルマで30分も山に向かったところにある、この中学校の現実でもある。
「子どものために」と声高に話す教員はきっと多いけれど、どうすることが「子どものため」なのか。私に答えは出せないけれど、悩む努力は続けたいと思う。