神奈川県鎌倉市立小学校の50歳代の女性教諭が2月、理科の授業中に立ち歩いていた6年生の男子児童を注意する際、川崎市で中学1年の男子生徒が殺害された事件を引き合いに出し、「言うことを聞かないと、川崎の事件みたいになっちゃうわよ」と発言していたことが、市教委への取材でわかった。(読売新聞、20150317)
もしこの通りの事実があったとしたら、論理的におよそ整合しない話をするという、「子ども相手」の仕事をしているなあと思わざるを得ない。
もちろん、児童・生徒ゆえの語彙上の制約やときに「間違った」言葉遣いが伴う教職でもあることは否めない。けれども、こうした子どもに対する配慮と、「彼ら相手だからいいだろう」と暴言することとは区別される。前者は相手の状況を慮るものだが、後者は自分の気分・感情を満たすためだろうからだ。
大人同士ならばおよそ許されない、ひいては相手にされなくなるような物言いの癖をつけてしまうのは、自身の危機を招くものと心すべきだろう。教職に関わる危機管理とは、決して不審者対策に留まるものではない。自身の仕事ゆえに出会いうる危機に対しても心を砕くこと、そんなセルフマネジメントが大切ではないだろうか。