居眠り学生にペンケース投げつけ…女性講師戒告 2015年4月1日 読売新聞(一部、改変)
長崎大は31日、女性講師(50歳代)を戒告の懲戒処分にしたと発表した。同大によると、講師は2013年6月、講義中に私語をしていた学生に対し、必要以上に厳しく叱責し、居眠りをしていた学生にはペンケースを投げつけた。
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大学でも授業者の感情マネジメントが求められるようになっている、と読んだ。
確かに、懸命に授業をしているのに、居眠りをされたり、私語で授業を妨害されるのは、嫌であるし、他の学生の邪魔にもなることを考えれば、何らかの対応を求めることはもっともだ。しかし、それが厳しい叱責やペンケースを投げることで解決できるかといえば、否と言わざるを得ない。
叱るというエネルギーの消耗、自分と当該の学生そして周りの学生の不快という感情的損失と、授業の静寂を取り戻すことができるかどうかという、損得勘定あるいはコストパフォーマンスを考えれば、やるべきことではないと導けるのに、その計算を支える冷静さを失ってしまっている状態、これが「カッとなって」「思わず」という行動に繋がる。
こうなる前に、授業の秩序についてどう考えるのか、すなわち私語とはどのようなことか、なぜ私語が起こるのか、を分析して、それを抑制する仕掛けをしておくこと、「授業の準備が大切」とはこのことも含むのだから、授業環境を整えることに心が砕かれるべきだろう。
それにしても、教授という肩書きが今も示す、教え、授けるという教育上の発想からいかに離れることができるか。私語をしている学生、居眠りをしている学生の行動を、それなりに合理的な結果と見ることによってしか、始まらない作業だと思うのだけれど。