給食や掃除が組み込まれている日本の学校教育は、子どもたちの社会性を育てる上で有効と、特別活動が海外から注目され、トッカツとして知られるようになってきたという(朝日新聞、20151025)。
文科省はこの「輸出」をつもりしているとも報じられているが、かたや学力テストの結果わずかな違いでも一列に並べてランキングし、各地で順位のために血道を上げさせることになっている現況を、どう説明するのだろうか。
学力テストが生徒個々に回答させるもので、協力や助け合うものとはおよそ異なる性格を持つことは百も承知なのに、個々の「能力」の集積を頭数で割った平均値を跋扈させている。特別活動が日本のウリだと言うのなら、どうして「三人で満点の答案を作れるかどうかのテスト」(「文殊の知恵」)とか、「わからないクラスメイトにいかにわかるように説明できるかのテスト」(情けは人の為ならず」)とかをやったらいいのに。
問題解決は一人でもいいし、複数でもいいはずなのに、個別に測定して、なぜかそれを並べる。「学力向上」なる掛け声が、いっそう虚しく聞こえるニュースに接したことだ。