南西ドイツの学校、6年生の自主学習(selbständiges Lernen)の時間。
私の見るところ、生徒たちは決してうるさくなかったし、むしろ5時間目ともうくたびれているだろうに、よく頑張っているなと思うほどだった。けれど、教室内では言葉を基本的に発しないという、学校のルールからすれば、多少は声が出ていたのかもしれない。それでも、ささやき声ぐらいである。
突然、中堅の女性教員が声を上げた。さっきから集中してやりなさいと言っているのに、何してるの! いい加減にしなさい、という言葉の類である。生徒たちは次に落ちるかもしれない雷にこわごわしながらも、いささか呆れ顏でおとなしくしている。観察者としては不適切だったのだろうけれど、生徒が気の毒にも思われたので、何人かの生徒とは目配せして、もうしょうがないね、メッセージを送りあう。この点、言葉発せずとも伝わるのは、きっと万国に共通だろう。
生徒が教員の思うようにならないのは、ここでも同じ。また、それに対する教員のリアクションも似たようなものだ。教師と生徒は永遠の敵対関係、と命題化した大昔の研究者の着眼の鋭さを重ねて確認できる。