〜させる、のではなく
小・中学校の研究主任と教務主任との研修会、今年度の校内研究の反省と来年度に向けた新たな取り組みを目指すものだ。
学校にあらかじめ用意してもらった資料に目を通す。みんながみんなという訳でもないけれど、「児童に〜させる」ことがまだ十分ではないといった「反省」が見える。そうじゃないやん、自分たち教員について、何ができたのか、まだ不十分なのかを考えなあかんやん、と独りごちる。 どれくらいの学校や教員がそうなのかはわからないけれど、授業について話をするとは、児童や生徒(学校では子ども、ということが多い)の変化・変容を求めることだ、と少なからず考えているのではないだろうか。教員の働きかけを通じて子どもが変わる、という原理的には成り立たないことが、まさに素朴に信じられて教育的信念となり、そうなるはずだ、なっていないのならば、そうさせなければならない、と規範と行為が転じる。恐ろしいことだと思う。 経験的には教員も承知しているだろうに、教室やグランドでの子どもは、教員とだけ関わっている訳ではない。むしろ、彼らはクラスメイトとの力学の中にいると捉える方が正確なのだ。だから、彼らの振る舞いを教員の実践というシロモノと直線的に結びつけることはできないのに、それでは教員の立つ瀬がないと考えるからか、教員の「指導力」が子どもたちにあまねく響くと立論する。 「うなずいたのはわかったから」であって、授業が早く終わってほしいから、とか、わかっていないことを知られたくないから、はたまた、クラスメイトの調子に合わせているだけだから、何てことは頭に思い浮かばないのである。子どもにも彼らなりの都合がある、という当たり前のことを見ないふりして、50分くらいの授業で、しかも教員からの働きかけによって子どもが変わったなどということを夢想しようとする。 授業でちゃんと議論できるのは、子どものことではない。学習指導要領や教科書で教育内容がおおよそ決まっているのなら、教室やせいぜい個々の学校レベルで扱えるのは、授業者である教員がいかに話し 、動くか、振る舞うか、雰囲気を醸し出すか、教員の在り方である。これこそが変えることのできる変数だ。 とはいえ、教員の静的・動的な有り様を変えることは容易ではない。これまで通りが、もちろん楽ちんなのだから。ましてや、自分を変えることではなく、子どもを変えることに躍起になっているのだとすれば、「教員が変われば授業が変わり、ひいては子どもが変わる」という筋道に至るのはなかなかだなあと痛感させられる。ううむ。
by walk41
| 2016-02-04 20:44
| 学校教育のあれこれ
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