集団としての課題?
過日、いつものように校内研究として行われている授業研究という不思議な儀式について、そもそもやりたくないのだから、誰も研究主任になりたくない状況なのだから、こんなやり方、そろそろやめませんか、と話をしていた時だった。
4〜6人の各テーブルを回っていた時、中学校の教務主任が返してきた。「それぞれの生徒が授業を通じてどのように変わるかを捉まえることが難しいのはわかりましたが、集団としての課題もありますよね」と。 驚かされた。だって、学校で生徒たちがクラスや学年に分けられて、それぞれに一つの塊かのように扱われるのは、学校の都合ゆえであって、彼らの側から「こんなクラスにしたい」とか「こういう学校になるのが目標だ」ということは、あくまでも消極的にしか存在しない、にもかかわらず、まるで積極的な場であることが当然かのような発言だったからだ。 たとえば、サッカーチームを作る、ついてはメンバーを募集し、これに応募する、ということであれば、サッカーができるチーム、試合で勝つという目標が共有され、それに向けた課題が問われる、というのはわかりやすい。 ところが学校は、とくに普通教育を行う義務教育学校では、こうした構図で説明できないのだ。彼らが学校に来るのは、まあ何となくであって、仮に勉強して賢くなりたい、友達と楽しく過ごしたい、部活動を頑張りたいと思った場合ですら、そのために学級や学年が、さらにはその学校全体が必要なわけでない。クラスの一部、反対にクラスや学年を跨ぐ人間関係は重要だが、そこまでのことである。 なのに、学校側、とくに生徒指導主任などは生徒たちに対して、声を大に叫びがちだ。「学級目標がどれだけ達成できたかを考えながら生活しよう」と。ところが、そんなことは、まあシャレ程度のもので、消極的な課題、例えばそれぞれを尊重する、不快な思いを互いにしない、協力的な態度を保つ、といったこと以上を求めるものではない。だって、学級から学校までそのような「何か集団でするための場」とは設計されていないからだ。だから、教員に学校教育目標を尋ねても答えられないでしょ。 学校に来るという格好がそもそも、群れや集合でしかない生徒たちに、始めからありもしない集団を想定して、生徒集団と言ったり、集団の一員として行動しろ、と求めたりと無茶を言う。そんなものは、頭でっかちの教員たちの思い込みである。軍隊の士官学校や教練なら話は別だが、普通教育の学校は、そんなことを射程に置いてはいない。 こんなちょっと考えればわかるだろうことを、見て見ぬ振りか、それとも本当に気づいていないのか、学校で働くと誠に不思議なことが起こるものである。生徒はそんな教育者の思い込みに翻弄される始末だ。まったく気の毒なことである。
by walk41
| 2016-02-14 16:43
| 学校教育のあれこれ
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Comments(1)
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by
ポッピーママ
at 2016-02-19 04:37
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榊原先生、こんにちは。
日本の学校にあるような『校内研修』というシステムは、他国にも存在するのでしょうか。もしかしたら、日本に独特のものなのかも、とか、どこに起源があるかとか、教員文化の継承とかかわりがあるのかとか、いろいろ疑問に思うのですが。
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