「みんなでやる」風土ゆえ?
ポッピーママさんからコメントを頂戴した。「校内研修」なるものが外国にもあるのかと。
残念ながら、私はドイツの初等・中等教育についてしか(それも、連邦制を採る国ゆえ、どこでもそうかは判じられないけれど)わからないけれど、この限りではこうした仕組みはないといっていいと思う。 校内研修の実質は「授業研究」(lesson study)、これは日本ならではのものだと、海外に発信する向きもあるから、私たちがイメージする「校内研修」は珍しい類なのかもしれない。 私が思うにこの仕組みは、内容的にどうこうというよりも、形式として行われることに意味があると、当事者には捉えられてきたのだろう。つまり、一つのテーマを決めるまで、みんなで(これが肝である)お喋りをすること、回を散々に重ねたあとに、「でも本当の学力って何だろう」といったドンデン返しも経験すること、こうしてようやく指導案の検討に入り、ああだこうだとまたみんなで話をして、「指導案に縛られてはいけない。けれど、指導案を踏まえなければならない」と一休さんのとんち話のような話をして、やっと授業が行われ、授業観察や授業参観と銘打ちながら、生徒たちをぐるりと取り巻いて授業に干渉して、最後の話し合いでもまたまたみんなで思い思いの好きなことを話して、時間切れになるのを待ち構える、こうした一連のスタイルが学校にとって重要と考えられているのだ。 何をやっているのか、という内容はほとんど問題にならない。どんなテーマであっても、教育に関わることなのだから、それでOKだ。それよりも、みんなで、時間をともにすること、それなりのドラマを経験することが、みんなで盛り上がるための不可欠な条件であり、このために何かをしなければならないのだ、やりたいわけではないのだけれど。 かくして、内容は飛んでしまったままの校内研修、授業研究ができ上がる。先行事例の検討も、その継承や批判もなく、毎年、何をしたらいいんかなあと研究主任は頭を悩ませる。やりたい内容がないのだから、仕方がない。仮説の設定や実証、検証とおどろおどろしい言葉を用いながら、授業後、何も明らかになることはない。前半の勢いはどこに行ったのか。出てくる感想は、これまでの苦労がしのばれる、お疲れさま、だけである。指導主事ですら。 こうした風土を維持するために、校内研修という場は使われている。これでは、まずは生徒たちに、そして納税者に受ける顔がないだろうと、私は思うのだ。
by walk41
| 2016-02-21 19:14
| 学校教育のあれこれ
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