ある研究発表会で、締めの挨拶をすることがあった。その数日後、一人の教員から「こういう言い方をしたら失礼なんですけれど」と前置きされて、話しかけられたのだ。
何かまずいことを言ったかなと恐々聞くと、「あの話が一日の研究発表会の中で一番良かったです」と言われる。どういうことかと聞いていると、多くの場合、「皆様の忌憚ない意見を伺えて良かった」などと心にもないことを言うか、それとも、上から目線で偉そうに言うか、いずれかだが、私の話はそれらと違い、「ここで提案したことを皆さんの学校でも試みて下さい。そして、それぞれの学校でやってみた結果を、こちらにも教えてください。」と話したからだと言われたのだ。
間違っても参観者にヨイショしたわけではないし、奇をてらったわけでもない。授業を見たからといって、法則的なことが学べるわけではないし、もとより、そのクラスだからこそできることが大半なのだから、直接に使えることがあるはずもない。常日頃、そのように思っているから、先のような話になったのだけれど。
みんな、無理してるんかな。再現性のないシロモノを相手にしているのに、わかったようなことを言わなあかん、って思ってしまうのは。だから、結果的に嘘つきになる。学ぶことはおおよそ主観の違いに起因するのだから、どのように見ているのかを相対化することで、多様な解釈を促すように議論を進めること、これこそが研究発表会でも大事な態度やと思うんやけれど。