今や立派な成人となった人から、自身の中学生の頃の話を聞くのは、なかなか楽しい。
高校受験を控えて、国語の問題を解く際、次のようなアドバイスを塾で聞いたと言う。
清少納言と紫式部、源氏物語と枕草子、これらの正しい組み合わせを選ぶ問いについて、両方とも足して7文字にするようにと。つまり、清少納言と枕草子、紫式部と源氏物語が正しい、ということ。
「21世紀型学力」という観点からは、こうした 一問一答式の問題は望ましくないということになるのだろうが、この経験はせいぜい10年前のことである。それほど昔のことではない。学校教育の世界も徐々にしか変わらないとは言え、すでに21世紀を迎えていた時期においてこの様子であったということを興味深く思う。
また、これは言わずもがなだが、学校で発現する生徒の様子は塾での経験も大きく影響している。当たり前のことだけれど、学校の管理下でなされることが、生徒の学力ほかのことをどれほど説明できるのか、まったく心もとない。
学校を強く補完する塾の存在をどのように踏まえて、学校教育を評価すればいいだろうか。