教室では言語だけでなく非言語にもあふれている。それらは非意図的に表出される場合もあるが、少なからず意図的である。教員が怒ったような顔を見せる、沈黙(間)をとる、腰をかがめて生徒と目線を合わせるといった、教員による行動に加えて、生徒がする行動も教室を性格づける。
その一つが授業中に密かに生徒間で回る「お手紙」である。教員に見えないように回るこれは、おそらく「授業、早く終わらへんかな」とか「今日の放課後何する?」いった、教育側にとっては否定的なものだ。それでも彼らの友人関係や教室でのある意味生き残りの戦略の一つとして、「お手紙」は意味を持っている(榊原禎宏・ 森脇正博・西村府子「教室における意図的な非言語メッセージ-正統化や勘違いとしてのコミュニケーション-」『教育実践研究紀要』16号 pp. 127 ~ 136 ,京都教育大学附属教育実践センター機構教育支援センター,2016年3月)。
ちょうど同じ現象を南西ドイツの6年生のクラスで見た。男の子と女の子が二人でやっているのだが、なかなかワイルドである。手紙を書く、その紙を丸める、相手に投げる、手紙を拡げ、返事をする、この繰り返しである。教員ももう諦めているのか、なぜか止めなさいとは言わない。
あーあ、こうしたことに対する教員の苦悩は、きっとどこでも同じだろうね。