小さく具体的な、そして教員が変わりうるテーマにしよう授業は、教員、児童・生徒、教材(学習材)、その他の環境から成るけれど、教育側がどうにかできるのは、教員、教材、その他のことであって、児童・生徒を直接にどうこうできるわけではない。彼らには彼らなりの事情や都合があり、それらに優位するほどの効力あるいは義理人情を、教員に認めることは少ないからだ。 なのに、授業研究のテーマは「〜する子どもたち」という基調が主で、当の子どもがこのことを聞けば、きっと困惑することだろう。そうなるかどうかは私たちの問題なのに、それを先生たちが先に決めるっていうの? って。意地悪に言えば、こうしていることを子どもに知られたくないから、授業後の検討会に子どもを参加させず、本人に聞けば早いのに、あの子は学んでいたあーだこーだと教員だけで話をするのだろう。 変えられるのは教育側でできることだけである。そして、変わるのは具体的なことで、創意工夫や手立てといった茫洋としたものではなく、またツールといった教員を離れて存在するものでもない。とりわけ普通教育において授業は、授業者の人格に深く根ざすもので、「誰でもできる」といった事柄ではないからだ。 また、校内を挙げてやらなければならないということから始まるから、校内研究と題した授業に関わる活動のテーマがあまりに大きすぎ、つまり漠然としており、雲を掴むような話だなあと思わされることが多い。 これは最大公約数的になるために、あるいは何か教育理念を高らかに謳わなければならないという思い込みから来るのだろう。その結果、まあ何をやってもテーマに収まると解釈される(そう解釈する)ことになる。けれどこれでは、何のためのテーマかわからない。テーマによっては、みんなでやるのがふさわしい場合もあるだろうけれど、教員それぞれのキャリア、教育観・学校観、現在の悩みや課題、あるいはやりがいは決して一様ではないから、失礼を承知で言おう、やっつけ仕事である。できればやりたくない。 子どもに変わることを直接に求める、また、みんなで(合意形成、全体での指導案の検討、全員参加の参観、みんなでの事後協議)することが一番、こんなことを続けていて、授業改善がいかに図られるというのだろうか。その反対を考えること、つまり、教員がいかに変わるか、変えられそうな具体的なことを取り上げること、それでこそ、授業を研究していると言うべきだろう。
by walk41
| 2016-08-11 16:35
| 学校教育のあれこれ
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