学校・教職員の現在と近未来-榊原禎宏のブログ

「理想の教師」

学生による授業の感想に、次のようなものがあった。

‥これまでの授業は、教育を語るといつも「理想の教師とは‥」といった夢のある話ばかりだったので、ひと・もの・かねという現実的な視点で見るという発想は、経営に興味のある私にとってとてもおもしろかったです。‥

夢を語ることも大切だろう。けれど、それが現実的な基盤に立脚していないとすれば、夢想、さらには妄想となりかねない。「一糸乱れず組織人として行動する」「いじめは決して許さない」「子どもの学びを適切に見とる」と、言ってもいいけれど、そうならないとダメとまで行ってしまうと、これは無理難題という暴力性を帯びる。そんなんムリやん。

真面目な学生の中には、こうしたムリを「そうでなければならない」と考える君も出てくる。自分をいたずらに苦しめるムリを背負い込むのだ。もっと行きすぎると、この信念を生徒に押し付ける場合もありうる。「クラスの一員として恥ずかしくないのか」「いじめを傍観視するな」「一人ぼっちにさせないようにクラスメイトに声をかけよう」と、子どもたちに「そんな、殺生な」と呟かせる。多少はいいけれど、ちゃんとそうするのは難しいのだ。

労働に就くと、放っておいても仕事に対する信念が生まれる。その上で、対人サービス労働は、相手や状況によって答が多様だから、確固たる信念などは持たない方がむしろいいくらいなのだ。だから、最前線の経験をまだ持たない教員のタマゴには、信念へと煽るような授業ではなく、信念以前に学校がどんな風であるか、また学校に関わる信念がいかに形作られているかを、分析的に扱う授業がより大切と考える。

もちろん、教員養成大学でありながら、どんな授業をするのかの思惑がかくも授業者間で違う、といった現実も踏まえて、教員養成の高度化論も組み立ててほしいしね。


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by walk41 | 2016-10-25 13:48 | 授業のこと | Comments(0)
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教育学の一分野、学校とその経営について考えます。
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