実に懐かしい、30数年ぶりの再会というご縁をいただいて、新潟県に伺ってきた。
そこで案内くださったのは、地元の博物館。人口数万人の街の博物館ということで、はじめはどんなものだろうかと思ったのだが、実に興味深く紹介されており、短い時間ではとても見切れないと、次回を楽しみにした次第だ。
出土した遺跡から近年の機織り機まで、具体事物が豊富で、そのイメージを膨らませるための大きなジオラマも多数展示されている。レプリカもあり、実際の重さを体感できる工夫も見られた。これは面白いし楽しい。
伺うと地元の小学生は何らかの形でこの博物館を必ず訪れるそうで、学校に戻ってからある拍子で、そう言えばと博物館で見たことを話す子どももいるとか。いいなあと思う。
教育学という教育内容のことを学ばずに来たツケかもしれない。けれど、その上で思う、児童・生徒に学ぶべき内容を提示するとき、教員は自分が説明を、しかも対面で、かつ多くは口頭で、しなければならないと考えがちではないだろうか。よく準備された教材(学習材)をゆっくりと眺める、ちょっと体験できる機会を整えることが、結果的に生徒たちの学習を促すという発想は、どれほどあるのだろうか。
教員一つのメディアと捉えれば、教科書や副読本、あるいは学校外施設といった他のメディアとの連携が問われるだろう。これらの中で、どの部分を教員がいかに担うのか、そこでどんな能力を教員が持たなければならないのか。
生徒たちがより学びやすい環境を整えること、そのためには教えることが必ずしも一番には来ないこと、を知ること。優れた学習材を目の当たりにして、教員の立ち位置について改めて考えさせられる。