南ドイツの初等ー前期中等学校の校長、13年目になる方と話をする。
同氏は、場合によっては同じ学校に30年、35年と勤務する教員が決して珍しくないこの地の状況を嘆かわしく思っているが、如何ともしがたい。というのは、「本人の希望がない限り、学校間を転任しなくてもいい」というルールが、同州の教員人事に基本的に貫かれているからだ。
同じ学校に長く勤務すると、あまりに慣れてしまい、新しいことへの挑戦や革新が、なおざりになってしまう。「10年くらいまではいい。けれど、それ以上は長すぎだ」と同校長は見る。
ひるがえって日本の学校間転任人事は、明治の頃からおそらく全国津々浦々まで、幅はあれどまず10年間を超えることなく、すべての教員に対して行われてきた。もっとも、高校なかでも専門教育学科に関わる教員については、該当しない場合も少なからずある。世で語られる「こんな風なのは世界でも日本だけ」という常套句は、ほとんどが間違いや虚偽だが、この仕組みについてはおそらく日本だけ、しかも100年以上の経験を持っているものだ。それは、いったい誰のアイディアだったのだろうか。
ともあれ、教員が新しいことに臨む姿勢に乏しくなっていくこと、その結果/原因として、教員の自己革新が見られない様は学校管理職の悩みの一つ、という点は、日本とドイツのこの地に共通するようだ。