この春から教職に就く人たちに対する「採用前研修」があり、これに参加したという人の話を聞いた。
いろいろな話があっただろうけれど、私が聞いたのは、女性の高校教員の話で、その方は、夜は22時に就寝するものの、朝は3時半に起きて、自身の子どもが眠っている時間に仕事をしていると、新人を前に語ったのだという。
むろん、早起きの人が早朝から仕事をするのは結構だけれど、これから教職一年目を迎える人たちに話す内容としては、すこぶるよろしくないと思う。なぜって、こんな時間が普通なのかなんて思われたら、「教職すなわちブラック企業」のイメージが確定だからだ。教育センターはこの人選で良かったのだろうか。
何が人間らしい仕事のあり方かを定義するのは難しいけれど、元気モリモリで頑強な人でなければ教員として勤まらないというメッセージを与えるのは、いかがなものだろうか。多少病弱でも、家庭や個人の事情でフルに働けない/働かない人も学校に関われるような仕掛けを用意すること(だから、短時間勤務制度が必要だとずっと言っているのに。榊原禎宏「パートタイム労働としての教職像-ドイツにおける教員の検討から-」京都教育大学紀要117号、2010年)これこそ大切で、フルタイム以上に働けないとダメだよと言うのは筋違いだろう。
人数に対して業務量が多いのか、業務の構造がよくできていないのか(うまく分業・個業化されていないのか)、それ以外の理由があるのか、これも長らくの研究課題だ。ええい、ともかく緊急避難的には、「できるだけ効率的に仕事をして、早く家に帰りましょう。家では仕事以外のことにより時間を費やしましょう」とアピールするしかないのか、そんなこと何の意味もないのか、わからないことしきりである。