学校・教職員の現在と近未来-榊原禎宏のブログ

「日本型」教育の輸出

海外から日本に戻った/やってきた、主に日本国籍を持つ子どもの保護者向けの講演を聴く機会に恵まれた。知ることが多く、勉強になった。

なかでも興味を惹かれたのが、優れていると外国から評価される「日本型」の教育-多くは学校教育だが-の輸出を、日本人学校を拠点に進めようとする国策についてである。

これまでも、朝の会と終わりの会(帰りの会)といった仕掛けが、カイゼン志向の日本人を生み出すことになると、1980年代の日本研究において指摘されてきたし、最近では、学校掃除や給食の時間といった集団的行動が見習われるべきという外国からの評価、あるいは養護教諭が重要な役割として注目され。"ヨーゴteacher"と国際語になっているという新聞記事もある。

これは、外国から日本を見る一つの試みとしておもしろいと思う。何が日本型かの定義の問題は残るものの、日本の学校に特徴的と大きく括れば議論を始められるだろう。森有礼が考案したとされる運動会、その他、特別活動に関わる事項は日本的なものと挙げていい。もちろん、管理主義や過度な同調傾向など負の面も伴うが、国際的に多くの児童・生徒を抱えてクラスが秩序を保ち、かつ「盛り上がり」や「絆」までも求めうる状況にあることは、ある意味で驚異的だろう。ドイツの学校を見せてもらう限り、一クラス25人を越えることはないが、けっこう子どもたちはマイペースだもの(逆説的に、人数が多い方が、凝集性が高まるという仮説も成り立ちうるけれど)。

くわえて驚かされたのは、カタールでは日本の算数・数学教育が注目されているそうで、彼の地の日本人学校に同国の教員が学びに来られているとか。関連記事を探すと、日本郵便がすでに2006年、公文式の算数教育を同国の小学校に普及する教育貢献プロジェクトを始めている(http://www.nyk.com/news/2006/0302_01.htm)。文化的侵略とも言えるかもしれないけれど、何でも向こうのニーズに合わせて始めるというのはすごいなあ。

「欧米に追いつき追い越せ」の時代はとうに去ったとは知っていても、次にどんな局面が来るのか、あるいはすでに来ているのかを必ずしも知っているわけではないだろう。外国の目から日本の学校がどのように見えているのかをちゃんと追いかけること、一部になお残る「欧米崇拝」と「植民地根性」を見つめ直す、いい機会ではないだろうか。
[PR]
by walk41 | 2017-03-14 08:12 | 学校教育のあれこれ | Comments(0)
<< またがる言葉 問いを問う >>



教育学の一分野、学校とその経営について考えます。
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
最新のコメント
メモ帳
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
非言語に見られる自己認知と自..
at 2017-08-23 11:41
お店の名前
at 2017-08-22 09:11
地毛は大切?
at 2017-08-21 10:30
「言い切れる正しさ」
at 2017-08-21 09:34
「子どもらしさ」と感情の表出
at 2017-08-19 16:13
人一倍
at 2017-08-18 12:45
Platoon
at 2017-08-16 23:25
〜しか〜ない
at 2017-08-15 19:34
7月4日に生まれて
at 2017-08-14 22:54
耐えられる能力
at 2017-08-13 16:29
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧