非正規教員、担任も部活も 「空白期間に仕事」4割 日教組調査(朝日新聞、20170605)を読んだ。
同記事の中に、次の部分がある。
…岩手県内の30代の女性は中学校で非常勤講師として働く。採用期間は4月1日~3月31日。今年で3年目になる。賃金は時給制で1千円。ボーナスは出ない。
自ら授業は受け持たず、体育以外の授業に支援に入る。特別の支援が必要な子供がいるクラスに入ることが多い。週に3日は一つの中学校、2日は別の中学校に通う。掛け持ちなので、クラスごとの授業の進み具合を把握することは難しい。採用時の面談で「掛け持ちだけはやめてほしい」と希望を言ったことがあるが、聞き入れてはくれなかった。…
ここから、「時給千円ボーナスなし」の見出しが作られている。けれど、これは読者を不適切に導くミスリードではないか。
この女性の場合は、正規ではない常勤あるいは非常勤の教諭として働いているのではない。支援に入るとあるように、いわば授業補助である。独立して授業を行う立場のスタッフとそうではないスタッフの時給に差があるのは、ある意味で同然であり、授業の準備、実施、後片付けや振り返りなどを要する教諭とそうではない立場との違いは認められるべきだろう。
もし時給千円ならば、1日8000円、月に18万円程度、年に210万円あまりである。この記事の前段に出てくる、手取り年収270万円くらいの教諭の年収が仮に300万円とすると、こちらの時給は1400円くらいだろうか。これでも高いとは思わないけれど、1000円と記すよりは高く見える。
非正規職員については、同記事の指摘するようなまずさと、時間数少なく働きたいという人にとっての柔軟な雇用形態という良さを合わせ持っている。時給が低いのはもちろん問題だが(私の知る限り、公立学校の場合、時給2000円を下らないように思うのだけれど)、同一労働、同一賃金の原則のあるなしと、任期付、パートタイム可という雇用形態とは分けて考えなければならないだろう。