学校・教職員の現在と近未来-榊原禎宏のブログ

信じてもらえない教員の労働時間

ドイツから客人を迎えて、「ドイツの学校制度と社会」をテーマに学生に話をしてもらう。学生たちも事前に質問を用意するなど、おしなべて熱心に臨んでくれた。やりとりも結構できたかと思う。

その講演のあと、今は教育委員会におられる方を交えて交流をした。短い時間だったが、日本とドイツの教員の働き方についてひとつ焦点があり、そうなのだろうなと思いながら、改めて、日本の教員、とくに中学校教員の長時間学校滞在(家庭訪問なども含み)と休暇の短さを確かめる場ともなった。

ドイツの教員は、早ければお昼過ぎ、遅くとも夕方には帰宅する。もちろん、家で仕事をしている面もあるけれど、かといって、夜の9時や10時、著しい場合には日付を跨ぐまで学校にいるという、日本の少なくない教員とは比べるべくもない。もちろん、ドイツの学校の土日は完全に休みで、学校は閉められている。金曜日の午後、13時も過ぎれば、校内にいるのは掃除担当の女性くらいだ。そんなところからやって来た客人は、教員経験10数年の女性だが、「そんなに遅くまで何をしているのですか」と問われ、日本側が返答に困ったシーンもあった。

ドイツでは仕事が終わったあとの時間を、"feier Abend”(祝いの夜)と楽しく過ごすことを旨とすると聞く。これに対して日本では、教員に限らず、仕事以外の可処分時間が著しく短く、帰宅後は楽しむ時間少なく、寝て終わりという場合も少なくない、いわば過労死直前の社会なことが大きな違いとは言えるだろう。

50年も遡れば、ドイツも休暇の日数が日本と同様、少なかったと読んだことがある。が、この半世紀ほどの間に大きく違ってしまった。ドイツの教員ならば、休暇は6週間、「日本の小学校教員ならば2週間くらいかなあ」と日本側が呟いたことにびっくりされ、くわえて、「中学校で部活に懸命な教員ならば、休暇は年に数日ということも…」と言葉をつなぐと、信じられないという顔をされた。

おおよそ既存の理解の限りだったが、学校教員の研究、とくに教員の労働や健康問題を看板に掲げているにもかかわらず、私には今なお、なぜかくも長時間の学校滞在と短い休暇にならざるを得ないのか、またたとえばドイツではなぜよりコンパクトに働くことができているのか、という謎に答えられないでいる。
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by walk41 | 2017-06-15 12:45 | ドイツのこと | Comments(1)
Commented by Koji at 2017-06-26 22:22 x
教員の労働時間は確かにブラック企業と言われるぐらいですから、とんでもないと思いながら小学校の管理職をしております。
米軍基地のアメリカ人教師と友達がいるので勤務に関しての両国の大きな開きに諦め感すらあります。
各県の学習状況調査、全国学力学習状況調査のスタートからかなりブラック企業への変貌が始まったように思います。さらにはメディアの過敏な体罰問題の取り上げイコール教師の吊るし上げ、ルサンチマンプロパガンダのようでもあります。いつの間にか学校は相対的に学力が低いと教育委員会から嫌味を言われ、体罰問題ではアンケート調査まで強要され、本来の伸びやかに子供と触れ合いながら親のように本気で叱り本気で心配までした愛で結ばれた両者の関係とはかけ離れています。長時間労働の理由には「怯え」があると思っています。教育委員会と校長が教師たちを守ろうとしない限りダメだと思います。あとメディアの一方的な情報の伝え方も問題。
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教育学の一分野、学校とその経営について考えます。
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